新聞記事

2013年07月05日号から

北総研・鈴木大隆氏に聞く これからの必要な視点

 省エネ基準の改正や低炭素建築物認定制度の創設、エネルギー価格の上昇、来年4月に迫った消費税増税など、住宅を取り巻く環境は大きく変わりつつある。その中でこれからの北海道の住宅はどう考えていけばいいのか。国交省の省エネルギー判断基準等小委員会の委員などを務め、改正省エネ基準の策定に尽力してきた北方建築総合研究所環境科学部長・鈴木大隆氏に聞いた。

すべての住宅でEBとNEBの底上げを

20130705_01.jpg 今年10月から施行となる改正省エネ基準は、外皮性能だけでなく、一次エネルギー消費量も評価する基準となり、国は2020年まで段階的に住宅の性能規制(義務化)を行うことをロードマップに盛り込んでいる。このような流れを見据えて、北海道の住宅は新築・既築・集合住宅も"住まい手からするとすべて同じ住宅"という視点で、一度、省エネに対する考え方をリセットし、それらに共通する性能レベルを設定すべきではないか、と鈴木氏は言う。
 「これまでの住宅は、断熱強化を中心に基準が強化されてきたが、これからの住宅は省エネ効果=エナジー・ベネフィット(EB)と室内環境の快適性向上などノン・エナジー・ベネフィット(NEB)を合わせた2つの視点から考えていくべき。改正省エネ基準で外皮性能の基準が残ったのはNEBも同時に高める必要がある、という考えに基づく。
 これまでの北海道の省エネ基準をこの2つの視点で見ると、昭和55年基準(旧省エネ基準)はエネルギー消費量がかなり多く、EBもNEBも低い水準だったが、平成4年基準(新省エネ基準)でEB・NEBとも改善された。しかし、平成11年基準(次世代省エネ基準)ではEBこそさらに良くなったものの、NEBでみると、住まい手にとって、その差は実は微妙でなかろうか。
 そして現在の道内の住宅を見渡した時、新築戸建てはいいが、既築住宅や賃貸を含めた集合住宅のEBとNEBは依然低い状況にある。今や日本全国も北海道も住宅の50%強が集合住宅になっていることを考えると、これから先、道内でも既築・集合を含め住宅全体のEB・NEBの底上げを図ることが大切になってくると思う。
 ただ、これまで断熱を得意分野として住宅の性能向上を進めてきた道内では、EB・NEBの両方を高めるための手段・選択肢が少なくなってきたのも事実。今年10月施行となる改正省エネ基準や2020年まで段階的に義務付けられる規制基準、さらなるトップランナー的な基準が出てきた時、これらの基準等に対応するためにも、道内向けに高性能な建材や創エネ設備、高効率設備などの製品開発・技術開発をメーカーに促す市場環境を整えることが大切だ。
 誤解を恐れずに言えば、北海道の住まいがどうあるべきかを考えると、メーカーの製品開発・技術開発を誘導できるまとまった規模の市場を創出するために、新築・既築、戸建て・集合、中古流通まですべて含め、住宅形式・所有形態の別なく共通した性能基準に見直す考え方も一つあるのではないか」。

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