新聞記事

2012年10月15日号から

日射遮へいの冷房削減効果

高性能住宅Q&A 767回

20121015_02_01.jpgQ...北国でもこの夏、特に残暑がひどく、うわさによれば札幌でも熱中症で運ばれた方がすごく多かったとか。ムリせず冷房して、電気使用量も削減する方法を提案したいのですが、何かいい方法はありませんか(札幌圏・住宅会社)

A...札幌での熱中症患者は、この夏200人を超え過去最高だそうです。冷房は、ムリにやめるべきではありません。特に高齢者は命にかかわります。冷房に使うエネルギー量は暖房より一ケタ少ないレベル。日射をさえぎって上手に使えばよいと思います。

 今回は、弊社事務所で行ったよしずによる日射遮へいの効果を電気使用量の点からみていきたいと思います。
   *      *
20121015_02_02.jpg 北海道ではこの夏、2010年の消費量を基準に7%の電力不足の可能性があるといわれました。2010年を基準にしたのは、この年が記録的な暑い夏だったからだそうです。そこで、弊社もこの夏の冷房使用量を2010年、11年と比較してみました。
 横棒グラフのように、この夏の使用量は2011年比では約10%増加しましたが、2010年比では33%の削減となりました。この夏は冷房代が2/3になったというかなり画期的な成果です。
 次に縦棒グラフを見てください。1日の平均使用量を月別にまとめたものです。7月、8月はこの3年で最低を記録。ただ記録的な残暑となった9月が大きく伸びました。検針日が毎月中旬なので10月にもけっこうな使用量を記録しています。
 よしずによる日射遮へいで、冷房エネルギー33%削減、というのは悪くないのではないでしょうか。そして冷房コストよりも、社員が感じる「快適感」が何よりの効果かもしれません。冷房がよく効くのです。
 というのは、直射日光をよしずによってさえぎることで、熱輻射による暑さと冷風を同時に浴びる従来型ではなく、快適な涼しさになりました。断熱の悪い住宅で暖房をガンガンたくのと、高断熱・高気密住宅で24時間暖房する違いといえばわかりやすいかもしれません。
 『快適な涼しさで、しかも省エネになる』ことが日射遮へいの効果です。

20121015_02_03.jpg さて、冷房使用量とあわせて一般電灯の使用量も調べたのですが、10年より11年、さらに12年と年を追うごとに少なくなっており、10年比では15%削減。パソコン台数、電灯など変化はほとんどないはずです。ふと頭をよぎったのは、パソコンは熱に弱い機器なので、日射遮へいでパソコンの消費電力を抑えることができ、そのことで冷房負荷が低減するという相乗効果が出ているのかなと。


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