外壁に引き続き、今回は床断熱と基礎断熱における施工上のポイントや注意点などを取りあげる。
要点その3
剛性ある材料で床断熱材受ける
まず床の施工だが、在来木造の床断熱は大引(床梁)と根太を直交させて、その間にグラスウール50㎜+100㎜の合計150㎜か同100㎜+100㎜の合計200㎜を充てんする。これは熱橋を避けることと、床の断熱強化を考えてのこと。より断熱性を高めるため、根太間はグラスウールボード45㎜を納めることも考えられる。
ただ、最近では28㎜厚の構造用合板を直接大引・土台に張って、根太を省略する根太レス工法の採用が増えている。この場合、Ⅰ・Ⅱ地域では土台・大引間のグラスウール100㎜だけで、次世代省エネ基準の床の基準値をクリアすることが難しくなるため、横面に受け材を打ち付けた土台・大引間に発泡プラスチック系断熱材を納めるか、後で説明する基礎断熱を採用する手が考えられる。
ちなみにツーバイフォー工法の場合は、ブローイングで根太の厚さいっぱいに断熱材を吹き込む方法がもっとも一般的。北海道では床根太に210材という梁背が235㎜もある材料を使い、その間にめいっぱい断熱材を吹いて床の断熱性能を上げているが、根太が206材や208材の時もこの方法がいい。ツーバイフォー工法の床用にプレカットされたグラスウールがないからだ。
床断熱の注意点は、何と言っても断熱材の垂れ下がりを防止すること。断熱材と床下地の間に隙間ができると、そこに気流が走って断熱性能を低下させてしまう。これを防ぐために、断熱材の支持はたわんでしまう心配があるネットなどではなく、剛性を確保できる板材などで支える。
なお、前にも説明したが、床の気密化は床下地合板を気密層として利用し、ポリエチレンシート(防湿・気密シート)を使わない工法を推奨したい。クッションフロアなど透湿性のない床仕上げ材の上で水をこぼすと、クッションフロアとポリエチレンシートに挟まれた床下地合板が、こぼれた水で腐ったりする可能性もあるからだ。
要点その4
土間下断熱材に熱損失低減効果
基礎断熱の場合は、発泡プラスチック系断熱材を布基礎の①外側だけ施工②内外両側に施工③内側だけ施工―という3通りの施工方法がある。寒冷地や準寒冷地では外側だけ、または両側とすることが多い。この時、基礎外周部から室内側にかけて、土間下に90㎝程度の長さの断熱材を敷くと熱損失がより少なくなり、土間下全面に張るより費用対効果が高まる。3×6尺の押出スチレンフォームなどを並べるだけでいい。
なお、断熱材は布基礎のコンクリート打設時に一緒に打ち込むことが多いが、コンパネなど型枠の役割を果たし、コンクリート打設後はそのまま基礎断熱材となる型枠兼用断熱材を使えば、基礎工事の省力化にもつながる。 (次回に続く)