新聞記事

2012年03月25日号から

断熱建材にトップランナー制度

省エネ法改正し高断熱へ誘導

 政府はこのほど、省エネ法(エネルギーの仕様の合理化に関する法律)の一部を改正する法律案を閣議決定。省エネ性を現時点で最も高い製品より高めることを努力義務として定めたトップランナー制度の対象に、断熱材や窓、水回り設備などを追加し、住宅・建築物の省エネ性能の底上げを図る考えだ。

メーカーの技術革新促す

20120325_01_01.jpg 省エネ法の中に規定されているトップランナー制度とは、家電製品やガス・石油機器、自動車などエネルギーを消費する機器のうち、国が指定した機器は3〜10年後の目標年度まで、省エネ性を現在最も優れている製品より高めることを努力義務として定めたもの。達成できなかった場合、他の製品よりかなり省エネ性が劣ると判断されれば、性能向上を促す勧告が行われることになり、勧告に従わなかった場合には公表・命令・罰金もあり得る。
 現在、エアコンやテレビ、冷蔵庫、ガス・石油温水機器など23種類の機器がこの制度の対象として指定されている。建物の断熱性能と設備機器あわせて住宅の省エネ性を1次エネルギー消費量で評価するトップランナー基準(住宅事業建築主の判断の基準)とは別の制度だ。
 今回閣議決定された省エネ法の改正案では、家庭など民生部門の省エネ対策として、このトップランナー制度の対象に断熱材や窓、水回り設備などの住設建材を追加。これによってメーカーの技術革新を促し、住宅・建築物の省エネ性向上につなげることを狙っている。
 制度の対象となる機器の省エネ性は、テレビや冷蔵庫であれば年間消費電力量、自動車であれば車両重量に応じた燃費で判断することになるが、断熱材や窓は家電製品や自動車のようにエネルギーを消費するものではない。どのように省エネ性を判断することになるかは、「これから詳細を検討する」(経済産業省省エネルギー対策課)とのことだが、想定されるのは熱伝導率や熱貫流率による評価だろう。
 また、水回り設備については、「浴槽などお湯を使う設備を対象に断熱性を評価する方向」(同)としている。

【写真】断熱材と窓...トップランナー制度によって断熱材や窓の性能向上が加速するか

省エネ基準義務化へ
ロードマップ明確化も

 また、経産省が公表した改正案の概要によれば、2020年まですべての新築住宅・建築物に省エネ基準の適合を段階的に義務化することとし、対象や時期、性能水準などの具体的な工程を省エネ法改正にあわせて明確化するよう関係省庁と調整するという。
 そこで気になるのが今後の省エネ法・省エネ基準の動向だが、今年9月に省エネ基準は1次エネルギー消費量による評価を導入する。当面は国による認定基準として運用される予定で、認定が補助・減税など国によるインセンティブの条件となり、2020年までにすべての住宅で義務化されるという。建物の断熱性能のほか、暖房・給湯設備も加えた形で評価するという話も出ているようだ。
 また、しばらくはこれまでの年間暖冷房負荷・熱損失係数=Q値による評価も、併用されることになると言われている。

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1次エネ消費計算プログラム...住宅事業建築主の判断の基準(トップランナー基準)で用いられる1次エネ消費計算用ウエブソフト。省エネ基準も同じ計算が必要になるかもしれない


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