新聞記事

2012年03月15日号から

高断熱住宅でCO2削減へ

動き出す札幌版次世代基準

 札幌市が独自に設定した断熱・気密性能等級への適合を認定して建設費を補助する『札幌版次世代住宅基準』が、いよいよスタートする。最高等級でパッシブハウスレベル、標準等級となるスタンダードレベルでも熱損失係数=Q値1W以下。市内で建設される住宅の断熱水準が一気に高まることになりそうだ。

市内の新築・改修対象
 建て方・構造は問わない

20120315_01.jpg 「SAPPORO ECO―E HOUSE」(サッポロ エコ・エネルギー ハウス)を愛称とする札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として、新築と既存住宅の改修を対象に策定。市では市内に住宅を新築または改修する建築主等の申請に基づいて断熱・気密性能を評価し、同基準に適合する住宅を札幌版次世代住宅として認定する。建て方は戸建て・共同を問わず、構造も木造・鉄骨造・RC造・組積造のいずれでもよい。基準適合は義務ではなく任意だが、市では認定を受けた住宅に補助などの支援を行うことで普及を進める計画だ。
 高断熱住宅の普及による家庭部門の暖房エネルギー消費量とCO2排出量の削減を大きな目的としており、市では基準策定にあたって一昨年9月から有識者や市の関係部局長で構成する技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)を開催。半年間にわたって基準内容や費用対効果、各種技術の検証と課題の整理などを行い、昨年3月に最終的な基準案がまとめられた。
 市ではその基準案をもとに基準運用に向けた制度設計を行ってきたが、先月27日に上田文雄・札幌市長が定例記者会見で同基準を正式に発表。今月7日には制度内容に関する説明会が行われ、約400名の住宅業界関係者が参加するなど、関心の高さがうかがわれた。

Q値とC値で評価
 暖房エネ使用量算出も義務

 この基準は新築で5段階、改修で3段階の性能等級が定められているが、基準適合は義務ではなく任意。新築・改修とも各等級の適合判定は断熱性能(Q値)と気密性能(C値)だけで行われるのが大きな特徴となっており、長期優良住宅や北方型住宅のように耐久性や耐震性、メンテナンス性などの要件はない。住宅関連の基準としては非常にシンプルだ。
 そしてQ値については設計段階でのQ値計算、C値については気密工事完了後の気密測定が義務化されるのもポイント。北方型住宅ECOによる長期優良住宅先導事業に参加した住宅会社であればいずれも経験済みだが、地方自治体による住宅基準としてQ値計算と気密測定を義務付けたのは、おそらく初めて。なお、Q値以外に床面積1㎡あたりの暖房エネルギー使用量(kWh)の計算も義務付けられる。
 同基準の適合認定を受けた住宅には、性能表示ラベルと評価書が交付される。性能表示ラベルは8㎝角の金属製プレートで、新築では性能等級のうち最も高性能なトップランナーが金色、他の等級は銀色となる。評価書は認定を受けた各性能等級を星の数で示すとともに、断熱・気密性能値と年間暖房エネルギー使用量などを記載。これらによって性能の見える化や資産価値の向上、品質の明確化を図る考えだ。

パッシブハウス
相当で200万補助

 同基準の認定を受けた新築住宅への補助として、市では平成24年度に2500万円の予算を見込んでいる。正式な決定は今月下旬の議会での予算議決まで待たなければならないが、パッシブハウス相当のトップランナーは一戸あたり200万円、ハイレベル・スタンダードレベル・ベーッシクレベルはそれぞれ同50万円となる予定。次世代省エネ基準相当のミニマムレベルは補助対象外。分譲住宅・共同住宅は補助の対象外となり、改修についてもすでに省エネ改修を対象としたエコリフォーム補助があるため、24年度は補助を実施しない。
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