毎時1kW奪われる
前回は、室温を上げられない理由をコンクリートに熱を取られるからと仮定し、1例として1階がRC造、建築面積60㎡ではコンクリート量が概算で39m3、コンクリートを5℃から18℃に加熱するのに必要な熱量は、少なく見積もって22kWhであることまでみてきました。
今回はその続きですが、その前に記事の間違いを訂正させてください。
お わ び
39m3のコンクリートを1℃暖めるのに必要な熱が22kWhで、5℃から18℃に13℃暖めるには、少なく見積もって282kWhが必要になります。表のように、熱容量として39m3のコンクリートは22kWhがあり、この大きな熱容量がふだんは室温の変動を小さくしてくれるのですが、冷えていると加熱には相当な熱量が必要になるのです。
最初の半月が特にキツイ
「少なく見積もって」というのは、竣工直後はまだ乾ききっていないコンクリートを乾かしながら加熱することになるので、水分を蒸発させるためのエネルギーがさらに必要になるという意味です(気化熱・蒸発熱)。
39m3・90tのコンクリートに必要な蒸発のためのエネルギーは、およそ900kWhにものぼります。ただし、コンクリートの乾燥は打設後から始まっており、新築入居してからの1ヵ月程度でどのくらい乾燥が進むのか、今ひとつわかりません。乾燥開始から2週間で20~25%、3ヵ月で50~60%乾燥という実験があるそうですから、暖房onから半月間で10%程度乾燥したとして、必要熱量は90kWhとなります。
このほか、条件次第では地盤(土壌)にも熱がとられます。
このように、乾燥と加温のためにはかなり膨大な量の熱が必要となるのですが、1月前半の半月で加熱するとしたら、どのくらいの熱が必要かを試算しました。
必要熱は1時間当たり約1000W。言い方を変えれば、暖房熱量のうち1kWは常にコンクリートに取られていることになります。これは大きいです。 (続く)