新聞記事

2011年05月25日号から

床下のカビ対策 地盤全面に断熱材

高性能住宅Q&A 749回

Q・・・昨年、基礎断熱工法を採用して以来はじめて、お客さまから「床下がカビくさい」とクレームをちょうだいしました。今後の新築ではそのようなことがないように対策を打ちたいと思っています。いい方法がありませんか。(旭川・工務店)
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A・・・昨夏の床下カビ発生の大被害を受け、研究者が動き出してくれたようです。結論から申しますと、床下地盤面全面にプラスチック系断熱材を敷き詰めること。

 床下の環境は本当に微妙です。昨年もQ&Aで触れたように、北海道とは言え夏場の床下は、かなりカビが発生しやすい環境になるのです。
 しかし、実際には発生する家としない家があります。おそらく微妙な違いでしょう。その違いとは、やはり床下の温度だと考えられます。
 床下の温度が夏も低い理由は①地下水位が高く熱が奪われ続ける②断熱が不足して熱移動が大きい③冬場に床下を冷やしてしまった―ということが実際のところは考えられますが、多くは複合的で、事前に危険度がわかるケースは、地下水位が高い場合、山沿いや林が多くいわゆる夏も涼しい地域。それ以外は事前の危険把握は難しいと思います。
 対策は土間コンあるいはベタ基礎を打つ前に断熱材を50~100㎜敷き詰めるというもので、そのコストアップはけっこうな負担になります。
 ただ、熱損失の面では、基礎断熱時に床下を断熱しなかったこれまでのやり方を改める必要は出てきています。それは、基礎断熱工法の断熱性評価が厳しくなりそうである点、土の熱伝導率を厳しく見るようになった点が主な理由です。諸外国の例を見ても、スウェーデンの無暖房住宅では床下地盤面全面に壁と同レベルの断熱を敷き込んでいます。

コストアップはかなりある
 費用はどのくらいでしょうか。押出スチレンフォームB3種50㎜を20坪の床下に敷き詰めたら40枚。1枚仮に2000円として8万円です。
 さて、床下敷き込みの効果のほどですが、いわゆる測定データがいま手元にあるわけではないのですが、地盤全面を断熱した住宅は先の夏もカビ被害がなかったとある研究者は語っています。
 危険な予感がする敷地の場合は、迷わず断熱材を敷き込んだほうがいいようです。


*「基礎断熱した床下のカビ関連記事」*
基礎断熱した床下のカビ① 高性能住宅Q&A737 ぜんそくなどには有害
https://www.iesu.co.jp/article/2010/09/20100925-2.html

基礎断熱した床下のカビ② 高性能住宅Q&A738 残念ながら決め手なし
https://www.iesu.co.jp/article/2010/10/20101015-2.html


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