性能より効能で
4月5日号は休みました。震災の特集紙面になり、なかなか連続掲載ができないことをおわびいたします。
さて少しおさらいをします。熱交換換気に期待することを次のように挙げました。
1.暖房費用の節約
2.エネルギーの節約
3.暖房負荷の低減
4.給気の加温
5.暖房機能
6.ネームバリュー
そして、熱交換効率XX%」という評価基準だけでは、これらの期待に対する答えができないことを、1~5について見てきました。今回は6です。
6.ネームバリュー
連載の第2回に触れたように、「熱交換効率が何%なら、ネームバリューありと判断できますか?」と聞かれたとき、6番だけは答えが出ます。そして答えは「90%以上」になると思います。
熱交換換気は熱交換効率が高いとネームバリューが高まり、「いい機械」となりやすい。しかし、いい機械かどうかは、熱交換効率だけではわからないことは、連載2回、3回で触れてきたとおりです。
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最初の質問を忘れそうなので、原点に戻りましょう。
『熱交換換気に興味があるが、何を判断基準に選んだらよいか』というのが質問でした。そしてここまでで2つの判断基準が出てきました。
1.換気能力
2.熱交換効率
しかし、この2つともに判断が非常に難しいことも同時にみてきました。なぜなら、どちらも目に見えないからです。そこで、判断基準ではなく、『何を一番解決したいのか』を見極めた上で、商品選びをしたほうがわかりやすいということを言いたいと思います。
熱交換換気は安い機械ではありません。だから、『選ぶ理由』はとても大切になるはずです。何をしたいのか、それがまさに1~6の項目になります。
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さて、その話の前に、今回の大震災に関係する話をしたいと思います。
東京電力、東北電力管内でもっとも必要なのは夏場の冷房時をどうしのぐかという点です。冷房負荷を減らすために、従来は温度だけでなく水蒸気も回収する全熱交換器が有効だとされていました。
ところが、エネルギー的にみれば全熱交換器の効果はあまりないようです。すなわち、節電につながらないわけです。首都圏在住の建築環境系の先生の中には、「夏場トータルで冷房負荷を減らすためには、冷房期間を短くすることが大切。そのためには風を取り込む設計と、通風と相性のよい第3種換気がいい」とおっしゃる先生もおられます。
これには正直、驚きました。いずれ詳しくご紹介できる日が来ると思います。
連載ページ
1.空気質と両立が条件
2.熱交換効率、単体では判断できず
3.見えないだけに誤解も多い
4.性能より効能で
5.省エネより暖房節減に効果
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