空気質と両立が条件
Q・・・ずっと第3種のダクトセントラル換気を使ってきました。クレームがないし問題はないのですが、最近は同業の工務店が熱交換を試験的に採用しはじめたり、まれにですがお客さまから「熱交換換気を使いたい」という声があり、当社でも興味を持っています。何を判断基準に選んだらいいのでしょうか。(道内工務店・社長)
A・・・通称シックハウス新法の施行を機に、換気の話題はすっかり冷めていました。それが最近、少々盛り上がっているのは、やはり「省エネと空気質をどう両立するか」という問題意識が出発点にあると思います。
本紙およびこのQ&Aは、断熱・気密だけでなく換気の問題についても、20数年取り組んできました。その取材経験を元に今感じているのは、この問題は話が見えにくいということ。たとえば、熱交換換気→省エネ→偉いという連想ゲームになりかねません。
もう1つ気になることは、メーカーの洗脳に染まった人たちがいて、何を言っても耳に入らない場合があることです。それもこれも、話が見えにくいからでしょう。
この問題を「換気と省エネ」というテーマに置き換えて、思い込みや非難中傷でない意見をまとめたいと思います。
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いきなりですが、いくつかの問題点を拾っていきます。
第1に「熱交換換気を導入すると省エネルギーに貢献するかどうか」という点について議論があります。省エネに貢献するという説にたったとしても、省エネ達成はいくつかの条件をクリアする必要があります。
第2に省エネ(換気排熱を減らす)方法は換気熱回収(熱交換換気を含む)だけではありません。(是非は別として)換気量を減らすことでも省エネは達成されます。
第3に熱交換換気の役割は省エネだけでなく、給気加温にもあります。
第4に熱交換換気が北海道で少数派になったいちばんの理由は、主に掃除しないことで起きる換気不良・結露問題であり、熱交換効率の問題ではありませんでした。
第5に換気能力の低い熱交換換気システムは、室内湿度を高く保ち省エネを実現する場合があります。ただし、換気本来の空気清浄機能がないという皮肉な結果になりますが...。 (続く)
連載ページ
1.空気質と両立が条件
2.熱交換効率、単体では判断できず
3.見えないだけに誤解も多い
4.性能より効能で
5.省エネより暖房節減に効果
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