新聞記事

2010年12月25日号から

◆お日さまでバラ色とはならず

札幌市 設備店 部長
 会社の方針で、来年から太陽光発電の販売をはじめる予定です。世の中の流れなので、やるなら早い方が良いと思っていました。ただ、位置づけはとても難しいです。当社は太陽光発電を受注しても、工事はすべて外注。工事から利益は生まれません。販売利益はありますが、薄くならざるを得ません。なので、当社の商品の中の位置づけとしてどうするか、という点がとても大切になるのですが、いまのところいい方法が見つかっていません。

◆社内総出で現場回り
道北 工務店 社長
 今年も秋から年末にかけて現場が集中し、毎日わけもわからなくなるほどバタバタした状態となっています。こうなってくると現場管理の人手が足りなくなるので、普段は社内で仕事をしている設計担当者や帳場も時間を見て現場を回るように。工務店仲間からは「人を増やせば」と言われることもありますが、一時的な仕事のピークに合わせて社員の数を揃えるわけにもいきません。今を乗り切れば来年こそ明るい年になると信じ、社内一丸となって頑張っています。

◆家も中古で十分
札幌市 工務店 社長
 家も車も新しい方がいいと考える人が多いでしょうが、私は昔から中古でいいと考えるタイプでした。今まで新車を買ったことがありません。家も築20年の中古住宅を手に入れ、増改築して今も住んでいます。中古住宅は私にとって「自分の住みたい場所の土地を手に入れたら、家がおまけで付いてきた」感覚なんです。同年代では珍しいようですが、今の若い人はそういう感覚の人が増えているようですね。当社としても大規模リフォームに力を入れたいと思っています。


2010年12月15日号から

住宅エコポイント拡充

1月から設備も対象

 国土交通省ではこのほど、平成22年度補正予算成立を受けて、住宅エコポイントの対象拡充に関する制度の詳細を発表した。それによると新たにポイント発行対象となる太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽の3つの省エネ設備については、来年1月1日以降に着工・工事着手した物件を対象とし、ポイント申請は1月11日から受け付けることとなっている。
20101215_01_01.jpg 今回の制度拡充では、実施期間を来年12月31日まで1年間延長するとともに、対象となるリフォーム工事とあわせて設置する省エネ設備の太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽にも2万ポイントを発行。このうち太陽熱利用システムだけは新築での設置も対象とする。いずれもJISに規定する性能と同等以上の性能があると確認され、エコポイント事務局に登録された製品であることが条件(登録製品は12月下旬公表予定)。
 リフォームではこれら3つの省エネ設備を設置しても、これまで通り発行ポイントは最大30万ポイントで変わらないが、新築の場合、太陽熱利用システムを設置すれば32万ポイントがもらえる。
 新たにポイント発行対象となる省エネ設備の設置は、来年1月1日以降に着工・工事着手する物件が対象となり、ポイント申請は戸別申請の場合、1月11日から、共同住宅で複数戸まとめて申請する一括申請は2月上旬に開始する予定。
 詳しくは住宅エコポイント事務局(0570・064・717)へ。


2010年12月15日号から

◆小さな家じゃなく大きな家で

オホーツク 工務店 社長
 これからの家づくりは"小さな家"がキーワードになるという話をちょくちょく耳にします。確かに若年層が買える価格や家族数の減少、エネルギー効率などを考えると、そういう選択もアリかなと思うんですが、今はもう世の中の流れにただ乗っかって他社と同じことをやるだけでは、生き残っていけない時代。だったら思い切って"大きい家"に特化してはどうかと。医者や弁護士など高額所得者層にうまくアピールできればイケるんじゃないかと思うのですが。

◆社員総出の大騒動に
道東 工務店 社長
 ベテラン大工に70坪ほどの住宅現場を任せました。彼は経験浅い若い大工2人を引き連れ、フローリング張りをさせていました。引き渡しが近づいて、とんでもないことが発覚。フローリングの大半に接着剤の足跡がついているのです。若い大工はフロアの実部分に接着剤を付けて敷いた後、表面にはみ出た接着剤を拭き取らずそのまま歩いていたらしいのです。社員総出でフローリングについた接着剤を拭き取る羽目に。現場の監理不行き届きを深く反省しました。

◆最初に目が行きますね
札幌市 工務店 社長
 『読者のつぶやき』は最初に目が行きますね。自分とは全然考え方の違うつぶやきも載っていますが、「へえ、そんなこと考えているんだ」って思いながらすごく参考になります。もちろん似た意見が載っていれば共感するんですが、それよりむしろいろいろな考え方があることがいいです。


2010年12月15日号から

平成22年版消防白書

火災警報器が威力

 平成18年6月からすべての住宅で設置が義務付けられた住宅用火災警報器(以下、火災警報器)の普及率は、今年6月時点でまだ6割弱だが、火災警報器の設置によって、死者数、損害を受けた床面積、被害額は、設置していない場合と比べて大きく減少している。このほど公表された「平成22年版消防白書」が伝えている。
20101215_03_01.jpg 火災警報器は、住宅火災の死亡原因で過半数を占める「逃げ遅れ」を防ぐため、平成16年の消防法改正で18年6月から戸建住宅や延床面積500㎡未満の共同住宅にも設置を義務化。総務省が政省令で示した設置・維持に関する基準をもとに、各市町村が実際の設置箇所や設置方法などを条例で規定しており、一定の猶予期間が設けられていた既存住宅も、来年6月までに全国の市町村で設置義務化となる。消防庁の推計によると、今年6月時点での普及率は全国で58・4%。東日本は61・7%、西日本は53・3%となっている。
 消防白書によると、住宅火災による死者数(放火自殺者等除く。以下同)は平成17年の1220人をピークに、火災警報器の義務化が始まった18年以降は4年連続で減少。21年は1023人と依然1千人を超える水準にあるものの、平成15年以降では最も少なくなっており、消防庁では火災警報器の普及が死者数の減少に役立っていると推測している。
 また、消防庁では平成19年から21年までの3年間に、失火を原因とした住宅火災約4万4千件を対象として火災警報器の設置効果を分析したところ、火災警報器を設置していない住宅と比べて、住宅火災100件あたりの死者数は7・5人から4・7人へ、損害を受けた床面積は1件あたり48・3m2から22・0m2へ、損害額は1件あたり322万2千円から175万4千円へと減少していることが確認された。
 なお、平成21年の住宅火災件数(放火除く)は1万4778件で、死者数1023人のうち逃げ遅れが原因となったのは58・9%と、依然過半数を占めている。


2010年12月05日号から

茨城でパッシブハウス.外壁290mm

20101205_01_01.jpg 国内で2棟目、在来木造では初のパッシブハウス「茨城パッシブハウス」が茨城県石岡市で建設されている。設計・施工は地元のビルダー・(株)島田材木店(島田恵一社長)。国内初のパッシブハウスを設計したキーアーキテクツ・森みわさんをコンサルタントに迎え、完成後は地元ユーザーに高水準の快適な室内環境を体感してもらうモデルハウスとして公開する。

温暖地でも世界水準
20101205_01_02.jpg パッシブハウスとは、ドイツ・パッシブハウス研究所が定義した省エネ住宅の基準で、年間の暖房負荷と冷房負荷がそれぞれ15kWh/m2以下、家電を含む年間一次エネ消費量が120kWh/m2以下、50パスカルの加圧および減圧時の平均漏気回数が0・6回以下(C値で0・2~0・3cm2/m2程度)であることが条件。同研究所が認定を行っており、日本では昨年神奈川県鎌倉市に建設された鎌倉パッシブハウスが認定1棟目となる。
 島田材木店は、以前から快適性の高い住まいを提供するために、温暖なⅢ地域でも北海道レベルの断熱性能が必要と考え、Ⅰ地域の次世代省エネ基準をクリアする"ローエナジーハウス"を提案してきたが、取引先を通してパッシブハウスと出会い、「パッシブハウスは自分が考えている家づくりと方向性が一緒だったことに加え、そのレベルまで性能を高めた時にどのような室内環境になるのか、実際に体感したかった」(島田社長)と、パッシブハウスに取り組むことを決断。自社の技術力と同時に、世界レベルの高性能住宅に挑戦してみたいという気持ちも強かったという。

柱は240×120mmの杉材
20101205_01_03.jpg 建設中の茨城パッシブハウスは、オール電化で延床面積約38坪の在来木造2階建て。軸組材は国産材にこだわり、すべて合法性が証明できる茨城・栃木の無垢の杉材を使用している。
 外壁は充てん断熱材の厚さを確保するために、柱や土台・胴差しなどのサイズを240×120mmとし、高性能グラスウール16K120mmを2層充てん。さらに軸組屋外側は9mm厚の耐力面材を張った後、グラスウールボード32K50mmを下地間に外張り付加し、合計290mmの断熱厚を確保。
 また、軸組室内側は夏期の逆転結露を防ぐため、壁体内が湿度80%以上の高湿状態になると気孔を開いて湿気を逃がす調湿気密シート・ザバーンを張り、その上から胴縁材を柱・間柱に留めて30mmの配線スペースを取っている。さらに内装下地の石こうボードは蓄熱性をできるだけ持たせるために12・5mm厚品を2層張りしている。
< 床回りは、気積を抑えて暖冷房負荷を減らすために土間床工法を採用。基礎外側を押出スチレンフォームB3種50mm、土間下を同100mmで断熱しており、床組は土間の上に大引・たる木を土台と同面で施工。大引・たる木間にもグラスウールを入れている。
 天井は桁上断熱で、高性能グラスウール16K140mmを4層施工し、桁下にもグラスウール80+50mmを施工した合計690mm断熱。窓は木製サッシ・トリプルガラスを採用した。
 換気は冬期に第1種熱交換、夏期には第3種に切り替わるドイツ・パウル社の製品を設置。熱交換効率はカタログ値で91%、実際の設置状態で88%となっており、熱交換した給気にヒートポンプの熱を伝えて暖冷房も行う。給湯は太陽熱温水器とエコキュートを併用。

Q値0.8W、C値0.1cm2
20101205_01_03.jpg パッシブハウス研究所が開発した熱損失計算ソフトのPHPPでの計算結果によると、年間の暖房負荷は4・81kWh/m2、冷房負荷は3・1kWh/m2と基準値をクリア。
 Q値にして0・84Wとなり、給湯を加えた年間エネルギー消費量は18・6kWh/m2、家電を含む年間一次エネ消費量(照明除く)は約50・5kWh/m2となる。
 調湿気密シートの施工が終了した段階で気密測定も行い、C値0・1cm2/m2を記録。基準の一つである50パスカル時で0・6回の換気回数もクリアし、パッシブハウス研究所から仮認定を取得した。
 今月中には完成し、換気の給排気量や給湯負荷の算出結果などを同研究所に提出した後、正式に認定が下りる予定。同社では来年1月下旬頃からモデルハウスとして一般公開する考えだ。
 なお、建設コストについては実行で坪あたり65万~70万円ほど、ユーザー引き渡し価格は同80万円を超える見込み。同社では今後、施工の簡略化を進めると同時に、設備機器の見直しなども行うことで、誰もが手の届く価格で提供できるようにしていきたいとしている。


2010年12月05日号から

高性能住宅Q&A 741回 断熱材が間に合わない 現場の回し方見直し

Q・・・北海道は大丈夫だそうですが、本州では断熱材が現場に入らず、工程が大幅に狂うという問題が起きています。一時的な工法変更などの対策を検討しています。(関東・工務店)

仕掛かり工事を積み上げない
A・・・夏くらいから本州では断熱材が品薄になり、かなり混乱しています。そのときにこのような質問を受けました。
 大手ハウスメーカーはもちろん、建築現場は基幹建材の材質が変更になると少なからず影響を受けます。それをうまく乗り切るのも現場の力と言えるとは思いますが、難しいことも事実です。
 今回は1つの考え方をご提供できればと思います。それは工程管理のことです。
 たとえば壁のグラスウールが納期に間に合わないとします。グラスウールの施工ができないと着手できない工程は、壁下地です。
 では壁下地が終わらないとできない工程は、壁・天井の仕上げ工程でしょうか。
 そうすると、壁の断熱材がないことで、ほかの工事がどれだけ進んでも、けっきょく仕上げ工事の前に長い待ち時間が発生することになります。
 うんと単純化して話を進めましたが、これは工程の依存関係の中からいちばんのキモを見つける作業、いわゆるクリティカルパス、またはクリティカルチェーンと呼ばれる工程管理の考え方です。
 ここで大切なのは2つ。1つは、断熱材がないという「制約」の前の作業をどれだけ進めても、次には進めないという事実。もう1つは断熱材が来て工事が動き出したら、大工工事が間に合わないことでほかの工程に遅れが飛び火する可能性です。

【例】5つの現場に2人ずつ、合計10人の大工が現場に入っているとします。全10工程の工事の中で断熱材は第4工程で、2現場が第4工程の前で止まっています。次にやるべきことは?

 止まった大工をほかの3現場に投入し、工事のスピードをあげること。そして断熱材が届いたら、納期が迫っている現場にすべての大工を投入すること。
 壁下地工事という問題工程のまわりにたくさんのしかかり(仕掛)工事を積み上げても納期は短縮しません。「それぞれの現場がやれるとこまでやっておく」のではなく、来るべき大工不足に備えて、大工の配置変更でほかの現場を進めておく。これらの方法を検討する価値は、じゅうぶんにあると思います。また工法変更を余儀なくされたときにも生きると思います。
 もちろん、大勢の大工を投入する現場では、作業効率は2人のときより落ちるかもしれません。しかし、それは小さなことです。部分最適に気をとられると、すべての工事の納期と品質管理という全体最適を見失いかねません。ポイントは、大工という労働力(資源)を現場単位でなく全体で優先順位を決めて活用するという点です。この場合、管理者の仕事は残り時間がどのくらいあるか、遅れがほかに飛び火して深刻化していないか、の観察と対処になります。詳しくは制約条件の理論(TOC)を検索してください。
*   *
 とはいえ、今回の納期待ちはたいへんで、納品を待てなかった例もあると聞いています。このQ&Aは1つの考え方として、読んでいただければ幸いです。


2010年12月05日号から

◆信じるか信じないかはあなた次第です

首都圏 工務店 社長
 北欧や北米など、先進諸国は新築か中古かといった新しさの指標ではない価値と、物価で住宅価格が決まります。築50年の住宅でも程度が良ければ新築と変わらない価値が認められ、価格も同等です。自分はそういう住宅づくりをしているつもりで、お客さまには『価値が低下しない家をつくりましょう』と語りかけています。
 しかし、その意味がなかなか伝わりません。古い住宅は価値がないという現実の中で何十年も生きてきているし、住宅や住生活について教育を受けた経験もない。難しいのは当然です。ちゃんと説明しようとすれば、だんだん説明型の営業となっていくので、『信じるか信じないかはあなた次第です』みたいなノリに。商売ですから、関心を持ってくれた方だけを対象にしていればいいのですが、本当は信じるかどうかではないのに。いつもそう思います。

◆実感わかない景気回復
札幌市 建材メーカー 所長
 新聞を見ていると着工数が回復してきているようですが、当社は前年割れこそないものの着工数の伸び率ほど回復していません。価格競争力がある大手が市場を握っており、当社のシェアは若干落ちてきているようです。着工数が回復してもお客様の価格第一の傾向は変わらず、営業開拓が今ひとつうまくいきません。これといった新製品がないため、しばらくは苦戦が続きそうですね。住宅市場は景気回復に向かっているのかもしれませんが、私は実感が湧きません。

◆自分で決められないお客様
札幌市 住宅会社 社長
 このところ、住宅のデザインや仕様をお任せにするお客様が少しずつ増えてきたように思います。先日契約したお客様もこれまでの施工例やプラン集、建材のカタログなどを見せて特徴を説明しましたが、悩むばかりで決断できず、最後には「社長さんがいいと思うものにします」と一言。一生に一度の家づくりなのにそれでいいのかと言いたくなりました。こだわりがないのか優柔不断なのかわかりませんが、これで引き渡した後に不満でも言われたらたまりませんね。
首都圏 工務店 社長
20101205_03_01.jpg 北欧や北米など、先進諸国は新築か中古かといった新しさの指標ではない価値と、物価で住宅価格が決まります。築50年の住宅でも程度が良ければ新築と変わらない価値が認められ、価格も同等です。自分はそういう住宅づくりをしているつもりで、お客さまには『価値が低下しない家をつくりましょう』と語りかけています。
 しかし、その意味がなかなか伝わりません。古い住宅は価値がないという現実の中で何十年も生きてきているし、住宅や住生活について教育を受けた経験もない。難しいのは当然です。ちゃんと説明しようとすれば、だんだん説明型の営業となっていくので、『信じるか信じないかはあなた次第です』みたいなノリに。商売ですから、関心を持ってくれた方だけを対象にしていればいいのですが、本当は信じるかどうかではないのに。いつもそう思います。

◆実感わかない景気回復
札幌市 建材メーカー 所長
 新聞を見ていると着工数が回復してきているようですが、当社は前年割れこそないものの着工数の伸び率ほど回復していません。価格競争力がある大手が市場を握っており、当社のシェアは若干落ちてきているようです。着工数が回復してもお客様の価格第一の傾向は変わらず、営業開拓が今ひとつうまくいきません。これといった新製品がないため、しばらくは苦戦が続きそうですね。住宅市場は景気回復に向かっているのかもしれませんが、私は実感が湧きません。

◆自分で決められないお客様
札幌市 住宅会社 社長
 このところ、住宅のデザインや仕様をお任せにするお客様が少しずつ増えてきたように思います。先日契約したお客様もこれまでの施工例やプラン集、建材のカタログなどを見せて特徴を説明しましたが、悩むばかりで決断できず、最後には「社長さんがいいと思うものにします」と一言。一生に一度の家づくりなのにそれでいいのかと言いたくなりました。こだわりがないのか優柔不断なのかわかりませんが、これで引き渡した後に不満でも言われたらたまりませんね。


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