新聞記事

2010年10月29日

11月2日(火) 森みわさんのセミナー@札幌

 ジェイベック(株)では、ドイツ発祥の省エネ住宅・パッシブハウスを日本で初めて設計した森みわさん(KEY・ARCHITECTS代表)を講師に招き、講演会「環境共生型の健康住宅とは!?」を今月から12月にかけて札幌・仙台・新潟・大阪・福岡の全国5都市で開催中。
 この講演会では、これからの省エネ住宅づくりが、家族がストレスなく暮らせる快適な健康住宅づくりでもあることを踏まえ、森さんが省エネ住宅の考え方やパッシブハウスについて講演。
 全国5都市のうち、札幌は11月2日・ホテルニューオータニ札幌(札幌市中央区北2条西1丁目1、定員150名)に開催。時間は午後3時から5時まで。このほか福岡で12月9日に開催する。
 参加希望者は所定の申込書に必要事項を記入のうえ、FAXで送付する。入場料は1人2千円。なお、講演会終了後には森さんを交えての懇親会(有料)も行われる。
 申し込み・問い合わせは同社
(本社025・250・8900、札幌支店011・781・8201など)へ。


2010年10月25日号から

高性能住宅Q&A 739回 屋根の雨水が道路へ飛んだ

気候変動に備え雨に注意

Q...ゲリラ豪雨から数日したこの夏、お客さまから「屋根の雨水が道路まで飛んだ。こんなことになるとわかっていたら...」という苦情めいた電話が入りました。ハゼを立ち上げた無落雪の勾配屋根で、谷を走った水が飛んだようです。雪処理を優先した結果なのですが...。
A...そもそも建築としての欠陥とも思えませんがしかし。ここに取り上げたのは、2つの大切な視点が潜んでいるように思ったからです。1つは気候変化への対応、もう1つは非常識な消費者が増えていることへの対応です。

この夏だけとは限らない
 今年の夏から学ぶことは、温暖化が進めば、さわやかな夏の北海道も雨が増えて湿度が上がる可能性があるということです。
 関東以西が雪に対する備えがないのと同様に、北海道(道南をのぞく)は雨に対する備えがほとんどありません。住宅に限らずインフラもそうです。ちょっとの大雨ですぐに道路は冠水。家は床下浸水。でも、そんな大雨は年に一度あるかどうかだから、対策は不要だった。それがいままでの家づくり・まちづくりだったと思います。
 しかし、今年のように大雨が多いと、やはり雨の知識と対策が必要です。ただ、本当に温暖化が進むかどうかは未定。そこで対策をしておく必要があるかどうかの見極めも大切になります。

コスト増招く消費者の変化
 もう一つは、自分の主張が社会通念上、許容範囲を超えているかどうかを判断しない消費者が増えているように思われることと、その対応です。
 いつの時代もクレーマーと呼ばれる消費者はいるし、彼らが増えていることを裏付ける資料があるわけでもありません。ただ、ゆすり・たかりの悪意はないけれどシロウトの立場を利用して「知らなかった」「説明がわからなかった」といったいい訳で苦情を申し立ててくるタイプは、工務店にとってはけっこうやっかいだと思います。
 相手の言い分にどこまでつきあうかは微妙でしょう。こういう人たちが増えると、コストアップにつながります。そういう面で心の準備が必要かもしれません。

雨配慮のポイントは
20101025_01_01.jpg 話を気候変動に戻します。
 北海道程度の雨をゲリラ豪雨と呼ぶかどうかはともかくとして、少なくても北海道にとっては道路が陥没し死者が出るほどの雨でした。
 大雨について設計の段階で一定の配慮をする場合、ポイントになりそうな点を挙げてみました。
○屋根面では、水勾配の確保と雨水の流し方。
○屋根の雨水を受ける雨樋が北海道の屋根にはいまでもほとんどない。フラット系は軒先に雨が落ちないが、軒の出がないと外壁を汚すという別の問題がある。特に窓まわりの汚れは目立つ。
○雨樋があっても、大雨の時は雨樋を乗り越える(オーバーフローを起こす)というのが本州での常識。大雨は雨樋の対象ではない。
○大雨が対象外とは言え、特に隣地との関係については注意が必要。
○基礎を多少掘り下げて駐車場とする3層構造の木造アパートは、雨水処理に注意が必要。
 現段階では、雨が風を伴うことはあまりありません。がしかし台風が来るようになると暴風雨も到来しそう。そうすると外壁の雨もりが問題になるかもしれません。


<写真>
雨対処の建築がこれから北海道で大切になるかも


2010年10月25日号から

◆アンケートに記入しないお客さま

札幌市 工務店 社長
 現場見学会に訪れたお客さんでもアンケートに記入いただけなければ、もう出会うことは事実上ほとんど無いと思います。住宅会社のモデルハウスを見て回って知識も豊富、具体的な質問はしてくるし、いろいろ評価してくれたりするので、興味はあるのかな、と思わせるのですが...。こちらも真剣に説明し、ツールもお渡ししているのですから、お客さんの方も名前や自分の希望をアンケートに書く位のことはすべき。そう思うのですが・・・。

◆さじ加減が重要
札幌市 住宅会社 専務
 当社はお客さまから「高い」と思われているようです。自分はこのことについてけっこう敏感です。というのも『ちょっと高い』はOKですが、『高い』ではお客さまを遠ざけてしまうから。どちらかというと、ちょっと高いという評判も好ましくないと思っています。確かにこのところは予算に余裕のあるお客さまが多いのですが、常に広い層を狙っておかないと、気がついたら客層が偏っていたということになりかねないゾと、そのことに神経をとがらしているのです。


2010年10月25日号から

北方型登録千件超える

アシスト企画など3社に感謝状

20101025_03_01.jpg 北海道の推進する北方型住宅サポートシステムによる登録・保管事業の利用が1000件を超えたことを記念し、10月13日、札幌のホテルポールスター札幌で、感謝状の贈呈式と座談会が開催された。
 北方型住宅サポートシステムの登録・保管業務は、平成17年度に(財)北海道建築指導センターが道から指定を受け開始。19年度にはウェブ版を提供、20年度には北方型住宅ECOの超長期住宅先導的モデル事業で義務化、21年度には引き続き先導事業で義務化。これらにより平成19年度までは登録件数が200件未満だったのが以降3年間で800件追加と大幅に伸びている。
 当日は、登録保管件数が特に多い(株)カワムラ(旭川市)、(株)アシスト企画(札幌市)、(株)橋本川島コーポレーション(旭川市)の3社に感謝状が贈呈されたほか、同センターの辻博司理事長を座長に、行政や関係機関、上記三社の出席者などで座談会も行われた。
 「北方型住宅の建設普及に向けて」と題された座談会は、同センター・辻理事長が「北方型住宅は平成2年度から産学官連携で始まり、以来20年、道内の住宅の質、技術が大きく進展することに寄与できた。今後の展望について話し合いたい」と述べスタート。
 カワムラの川村隆副社長は「高性能住宅を実現するには仕組みだけではなく、断熱施工の意味や正しい施工法を施工者が理解することが大事。BISや工事写真の保管などは非常に活用しやすかった。他社との差別化、顧客からの信頼感にも結び着いた」と述べた。
 アシスト企画の岡本勝社長は「北方型サポートシステムは、ウェブ登録ができるようになった際、ルールに基づいて工事記録を撮影するということも含めチャレンジを始めた。登録の使い勝手が改善されるとなお良いと思う。性能的には気密に関しても高いハードルではない」と強調。橋本川島コーポレーションの村上雅人住宅事業部長は「住宅建設技術を磨くため社員全員BIS、BIS―Eを取得。今後も、より気候風土に適した高性能な住宅、自然エネルギーを活用した住宅を目指していきたい」と抱負を述べた。


<写真>
表彰を受けたカワムラの川村隆副社長(中央右)、アシスト企画の岡本勝社長(中央左)、橋本川島コーポレーションの村上雅人住宅事業部長(左)


2010年10月15日号から

不況時こそチャンス 前向きな起業者たち

 日本の中小企業の数が減っている。住宅業界も成長の時代から安定・そして減少時代へ突入しているが、そんななかでも起業して受注をのばす上昇志向の会社がある。「まわりは『儲からない』と言うが、そんな弱音をはく人には戦う前から勝っている」。そんな肉食系の会社社長にインタビューした。

記事本文は試読をお申し込みください。伝言欄に「10月15日号から希望」とお書き添えください。
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年10月15日号から

基礎断熱した床下のカビ2 残念ながら決め手なし

高性能住宅Q&A 738回

 一号あいてしまいました。基礎断熱した床下にカビを発見したという問い合わせ。カビはシックハウス原因の1つでもあり、健康な人にはほとんど害がない一方、呼吸器系の病気、例えばぜんそく患者などにはとても有害だというところまで説明しました。
   *   *
 さて対策です。
20101015_02_01.jpg 床下の空気を動かす必要があります。そのためには、床下の空気をファンで屋外へ排気することです。20~30m3/h程度の換気量が必要です。新鮮空気を送り込むという意味の換気は必要ありません。
 なお、工事水の影響や工事中にたまった雨水の排出により、初年度は湿気が高くなりやすいので、除湿器を設置するのも一案です。また春先引き渡しの物件はコンクリート温度が上がっておらず、夏場に表面結露をおこしやすいので、基礎断熱を両側断熱にする方法もあります。地盤面の防湿、場合によっては防水ももちろん重要です。
20101015_02_02.jpg 意外と効くのは木炭や竹炭。カビが自然の摂理だとしたら、自然素材で対処するのがベターかもしれません。ただし、多量に土間床に敷き詰める必要があります。コストもバカになりませんし、調湿力に寿命があるともいわれています。
 工学的な回答にならず、申し訳ありません。
 今年はカビの被害がとても多かったといわれており、本格的な調査・研究が始まることを期待して、結びとします。


*「基礎断熱した床下のカビ関連記事」*
基礎断熱した床下のカビ① 高性能住宅Q&A737 ぜんそくなどには有害
https://www.iesu.co.jp/article/2010/09/20100925-2.html

床下のカビ対策 高性能住宅Q&A749 地盤全面に断熱材
https://www.iesu.co.jp/article/2011/05/20110525-2.html


2010年10月15日号から

◆訪販リフォームの下請け

札幌市 工務店 社長
 昔、大手訪販リフォーム会社の下請けを数社していましたが、元請けだけボロ儲けし、下請けと客が泣きを見るやり方に嫌気がさして止めました。あるとき、増築工事をしていたらお客さんから「この工事ね、屋根とかが特別なので6坪で1,000万円なんだって。でもできあがるのが楽しみ」と言われたことがあります。その工事、私が60万円で請けたものでした。どこに利益が消えていくんだろうと不思議に思いましたね。その会社、今も札幌に営業所あります。

◆仕事に集中できない時・・・
札幌市 工務店 社員
 家族のトラブルとか、借金とかがあって仕事が手につかない状態の社員も時にはいます。そういう厳しい状態であっても仕事を投げ出さないで努力できるなら道は開けていく。自暴自棄になったりせず、仕事はきっちりやっていれば仕事が助けてくれると思います。むしろそういう厳しい経験をした人間の方が、仕事の面で大きく成長することもあります。本人の強い意志が感じられるなら、社員の少々のスランプは受け止める会社でいたいと思っています。


2010年10月05日号から

特集 リフォームを拓く "準新築"という新しい市場

20101005_01_01.jpg 「新築が縮小したらリフォーム」という動きとはちょっと違う。掘り起こしが始まったばかりでまだ市場は小さいけれど、いずれは住宅取得のメインが新築から中古に置き換わるという予想もある。ただ、現在はその過渡期にあり、新築市場は曇天が続く一方、リフォームも先が見えない。そのような中、本紙では10月からリフォーム面を新設し、情報発信を強化する。今回は拡大特集として、住宅会社やリフォーム会社の取り組み、経営者の考え、工法・技術の概要などについてまとめた。

リフォームに注目するユーザー側の事情

 リーマンショックに端を発した不況の影響は、昨年、住宅着工戸数にくっきりと表れた。全国では80万戸割れと45年ぶりの低水準、道内も2万6千戸台と5年前の半分近い水準となった。今年は昨年よりプラスで推移しているものの、ここ数年の落ち込みを取り戻すほどの勢いではない。
 国は住宅分野の経済対策として、新築とともに断熱・耐震・バリアフリー改修という性能向上リフォームに手厚い補助を開始している。しかし、リフォーム市場全体としては単価下落で売上が伸び悩んでいるといわれる。
 それでも今、リフォームが注目されるわけは、人口減少や収入の伸び悩み、団塊世代の第二の人生設計などを考え合わせれば、性能向上を柱にしたリフォームに可能性があるからだ。
 別の見方をすると、20代から30代の一次取得層で、新築戸建てを予算の都合であきらめた人たちの一部が中古住宅に流れ、その入居前改修が新しい需要となっている。ただ、この場合は予算の関係で性能改修に踏み込めないケースも多いといわれる。
 一方、退職前後の年齢層で、以前は2回目の新築を行った人たちの多くが新築を見合わせ、その一部が大規模リフォームを実施している。
 これまでは少なかった新築住宅の取得に近い"準新築"気分のリフォームが新しい需要になりつつあることは事実だ。

補助金や減税など行政が手厚い支援

 国では平成18年度から20年度にかけて耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修に対する減税措置を創設したほか、補助事業である長期優良住宅先導モデル事業では、最大補助額が新築同様の200万円、しかも今年度からは補助率を工事費の1割以内から3分の1以内に引き上げた。1年延長が決まった住宅エコポイントも新築に比べるとポイント還元率はリフォームの方が高いと言われている。
 また、札幌市が今年度から省エネ・耐震・バリアフリー改修への補助制度を創設するなど、地方自治体の支援も目に付くようになってきた。
 建築業とは言え、サービス業・店舗販売形態に近いリフォーム業にあって、性能向上リフォームは、新築で培った技術を活かせる。
 リフォームの主力がこれからも内外装材や設備の交換・更新で変わらないとしても、性能改修に関しては現在の新築市場以上に『技術』が物を言う。特に国が力を入れている断熱改修や耐震改修などは、基本原則を押さえた上で応用技術が必要とされる場面が多く、むしろ新築以上のスキルが求められる。
 幸いなことに、住宅会社はこれまで新築してきたOB客という宝の名簿を持っている。リフォーム営業で最初の大きな関門である"ユーザーの不安解消"がすでにできているので、すんなりリフォーム提案に進むことができるはずだ。

(2面以降の記事については試読をお申し込みください)
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年10月05日号から

◆補助金は複数回に分けて

◆補助金は複数回に分けて
十勝 工務店 社長
20101005_02_01.jpg 北方型ECOプラスや長期優良住宅の補助金のおかげで受注増につながっていることは確かだと思います。でも、補助金の概要が決まるのが毎年遅い。お役所の都合はわかりますが、北海道はそれに合わせていたら仕事が遅れてしまいます。昔の公庫のように年数回募集するなど、工夫があれば仕事が集中して「大工が足りない」という事態にもなりにくいと思うのですが。また、年5棟までという長期優良住宅補助金の制限もなんとかしてほしいです。

◆メディアミックスでの宣伝
札幌市 工務店 社長
 雑誌や新聞などに記事や広告を掲載した後の数日は、自社ホームページのアクセス数を毎度チェックしているのですが、実は全然アクセスが伸びません。雑誌の掲載内容だけで当社の全貌が分かるはずもなく、ホームページに誘導し、受注に結び付くものかと思っていたのですが...。紙媒体とインターネットのメディアミックスと言ってもなかなか簡単ではないですね。本当に効果のある紙媒体の吟味とネット戦略の強化を考えているところです。

◆自動掃除機能付きの換気がほしい
札幌市 建設会社 部長
 健康な室内空間の維持や結露の防止などを考え、「換気システムの役割はとても大切なので年に1~2回は掃除して下さい」とお客様には話しているのですが、これまで掃除をしてくれたお客様はほんのわずか。日本人は家のメンテナンスに無頓着と言われていますが、これはもうしょうがないことのように思います。自動でフィルターを掃除してくれるエアコンがあるのだから、換気も自動掃除機能が付いた製品を開発してもらえるといいんですが...。


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