正味資産が低下
住宅資産について、従来にない視点から見たグラフが図1。
家計の資産は、直近の2008年で金融資産が1420兆円。この数字はよく言われるところだ。この膨大な金融資産が団塊世代の定年退職・年金生活入りで、目減りするだろうといわれている。
非金融資産を見ると、土地が765兆円、固定資産が221兆円で、固定資産の大部分は住宅(建物)と見られる。
そして、資産から負債を差し引いた正味資産はこのところ低下している。
償却年数が伸びたら
さて非金融資産の土地と建物を円グラフにすると、建物(住宅)が4分の1、土地が4分の3を占めている。土地神話が崩れたとは言え、建物の価値は20年で消滅するから、建物の資産価値は依然として上がらない。
アメリカはどうかというと、日本と正反対。住宅の価値は建物で決まるとも言える。
もし、建物の価値が今の1・5~2倍になったらどうか。22年で償却される建物がアメリカ並みの50年以上になったら、住宅の資産額はほぼ倍増する(図2)。
家計資産は減らない
このことを、見方を変えていえば、700兆円におよぶ住宅の投資額が現状では資産価値として250兆円しかなく、差し引き450兆円は償却されているが、建物の寿命が延びれば消えた450兆円のうち240兆円は資産に転化する(図2)。
その結果、金融資産の目減りを固定資産がおぎなって、家計の正味資産は構成が変化するだけでほとんど目減りしないという試算が成り立つ(図1参照)。
住宅金融支援機構はフラット35によって優良住宅の取得を支援している。住宅の寿命が延びればCO2削減にもつながり、省エネ・耐震性などに優れた住宅を建てれば金利も優遇される。
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北海道住宅都市開発協会と住宅金融支援機構北海道支店、札幌商工会議所が共催した研修会で9月6日、住宅金融支援機構理事長の島田精一氏が話した内容をまとめた。
図1 マクロベースで見た家計の資産と負債
図2 住宅の資産価値 日本は20年ほどでゼロだが・・・