新聞記事

2010年09月25日号から

日射遮へいのありがたい効果 ひと夏の体験

 2010年はおそろしく暑い夏でした。天然クーラーつきの北海道も、夜間に機械が故障気味?で、暑さに弱い道民はみんなゲッソリ。そんなこの夏に、たまたま7月から取り組んだよしずを使った日射遮へいの成果について、体験を中心にまとめてみました。題して、「編集長のひと夏の体験」(新聞に掲載した写真類を一部省いています。ご了承ください)

夜9時以降は扇風機が不要
20100925_01_01.jpg20100925_01_02.jpg 日中は家にいない自分だけでなく、女房もこの夏を「暑いが耐えられないほどではない」と感じていました。家族5人ともに夏バテもなく、食欲も旺盛。
 その理由を9月1日の室温変化で見てみたいと思います(図2)。
 室温測定は「おんどとり」で行いました。日射と風の影響を受けにくい部分に置いてあります。すぐ近くに景品でもらった温度計があり、常におんどとりより1℃程度低く表示していました。
 体感的に27℃を超えると「あついー」とぼやきが出ます。そのぼやきが出る時間帯がこの日は朝7時台から夜の8時ころまで続いていました。
 朝の暑さはどのくらいかというと、電気カミソリが滑らない状態です。それが27℃。冷房設備があれば必ずonする温度ですね。
 夜はというと、汗を流しながらの夕食となります。しかし扇風機がちょうどいいのもこの温度帯でした。そして夜9時以降になると扇風機がいらなくなりました。
 日中は女房の話になりますが、もちろん『暑い』。ただ本州出身で暑さは慣れていることもあるでしょうが、『耐えられないほどではない』。
 RC造のマンションに住む友だちは『32℃から下がらない』とぼやき、木造の1戸建ての友人も『家に帰ると32℃』とノイローゼ気味で、わが家は『天国のよう』と涼んでいたというのです。
 確かにわが家は今年、いちども家の中が30℃以上になりませんでした。

照り返す暑さなく夜眠れる
 涼しかった昨年は別として、これまでも30℃以上にはめったにならない家です。では何がこれまでと違ったか。
 照り返すような暑さ、そして夜10時を過ぎてもあまり下がらない室温。そういうことが今年はありませんでした。測定してはいませんが、例年はかなり暑い2階の子ども部屋が1階より少し高い程度でした。
 室温と札幌管区気象台の気温の差を見てください(図1・表)。
 9月1日は朝8時から外気温が上回り、夕方5時まで続きます。外気ピークは31℃、室温は29℃で、夕方から夜にかけて室温もなだらかに低下しています。
 夜間の室温が高いのは、窓をほぼ閉めた日です。前日の外気温が低いときは窓を大きく開けずに寝られる気温でした。
 温度上昇の山を見ると、外気より室温がやや穏やかで、しかも遅れてピークが来ています。上昇こう配と下降こう配が同じ角度であることから、順調に室温が下がっていることがわかります。その結果、よく眠れるのです。
 これが屋外で日射をさえぎる最大の効果だと思います。

エアコンあればさらに快適
20100925_01_03.jpg もちろん日射遮へいだけでは快適な涼しさは得られません。エアコンがなければ湿度を下げられませんし、そもそも温度コントロールはできません。
 ただ、エアコンを使う場合も日射遮へいはものすごく効果的だと思います。室内に強い輻射熱源がないので、スッキリと冷房が効くはずです。逆に日射遮へいができていないと、この夏は北海道でもエアコンが効かなかったようです。
 最後になりますが、窓の外でどのように日射遮へいをするかは立地条件や意匠と相談しながら決めると思いますので、ここでは触れません。
 よしずについては、写真のように壁から腕木を突き出し、窓の外側に下げました。窓面との間は10㎝ほど離れており、雨の日は窓を開けると涼しくなります。風対策で振れ止めをつけてみましたが、なくても問題ありません。
 光は入るのに室内が涼しく、目障り感もない。口うるさい家族にも好評です。よしずは冬になる前にはずすつもりです。
 もう1つよく効いてくれたのが、窓面に這わせたにがうり(ゴーヤー)です。緑のカーテンによる天然の日よけで、かつゴーヤーが3つも収穫できました。2階は軒で、これらは南東面。
 西面は立地上、あまり光が入らないので対策していません。


使ったのはよしず。回転窓をフルオープンできず不便かと思ったのですが、不都合なし。通風換気さえできればOKです


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