新聞記事

2010年09月15日号から

「大工がいない」ぼやきも これから忙しくなるのに・・・

20100915_01_01.jpg 9月に入り「大工がいない」という声が聞かれるようになってきた。ここ数年、補助金絡みの物件の着工はお盆開け以降になるケースが多く、この時期から現場が混み合うのが常態化しつつあるが、今年は特に大工の手配が大変で、それにともなって大工賃金も上昇気味だという。本紙で道内各地の声を拾ってみたところ、まだら模様だが道東の一部などで大工不足が起こっているのは確実のようだ。

道東 十勝は賃金強気
 話を聞いた中で、特に大工不足を強く感じたのが道東の十勝と北見・網走地域。
 十勝では「大工が不足していて、賃金面もやや強気になっている。こういう話は不思議と大工同士で連絡が広がるらしく、一時的にせよ手配しにくい状況だ。地元の大手は賃金を少し上げて大工を集めているという話も大工から聞いた」(帯広・A社)、「確かに大工が足りないという話が周囲である。当社も大変だが、応援の大工にいつもよりも多めに仕事をこなしてもらっていて、それでなんとかしのげそうだ。労賃が上がるということはまずないと思うが、応援の大工は手当てを一時的に上げるということがあるかもしれない」(帯広・B社)など、大工不足だけでなく、賃金も上がる気配を見せている。
 また、北見・網走では「今年前半こそどの業者も現場がないという話が多かったが、お盆前後からに北方型ECOプラスもそれ以外の住宅も一気に着工が集中したことで、大工がめちゃめちゃ足りない状況。これまで頼んでいた大工が別業者の現場に入ってしまい、あわてて他の大工に頼んだ」(北見・C社)、「もともとこの地域は大工の絶対数も足りないうえに、北方型ECOプラスとそれ以外の物件の着工が重なったため、大工の手が足りないのはどうしようもない。大工2組は確保しているが、そのうち1組は規模が小さい2棟を同時にやってもらうことになりそう」(網走・D社)と、大工の手が足りないのは着工の集中以外に地域の慢性的な大工不足も背景にあると話す。

道央
事前の手配が重要
北方型ECO以外は余剰感
 道内着工の大部分を占める道央は、着工が本格化した北方型ECOプラスを手がけているかどうか、自社大工を抱えているかどうかなどで、状況が異なっている様子。
 北方型ECOプラスを建てる住宅会社は、「自社で大工をかかえず、大工全員を外注している業者は手が足りずに苦労しているようだ。当社では北方型ECOプラスの着工時期を予測し、前々から自社大工のほかに外注の大工をあらかじめ頼んでいたため、特に困っていることはない。大工賃金が上がっているという話も聞いていない」(札幌・E社)、「大工の数はすごく足りない状況。北方型ECOレベルの性能を確保するには、技術力のある大工が必要なだけに、誰でもいいというわけにはいかず、今後1人の棟梁が複数の現場をかけもちすることも考えないといけない」(札幌・F社)など、早いうちから大工の手配を行っていたかどうかもポイントになっている。
 なお、逆に北方型ECOプラスを建てない住宅会社からは「大工は足りている」「逆に余っている」という声もあった。

道北・道南
特に変わりなし
 道北・道南では、それほど深刻な状況にはなっていないようだ。
 話を聞いてみても、「当社ではこれから現場が集中するが、基本的には自社大工だけ対応できる見込み。旭川市内で大工が足りないという話や大工賃金が上がっているという話は聞いていないので、手が足りなくなったとしても何とかなると思う」(旭川・G社)、「特に大工が不足し、労賃アップしているということはない。仮に手が足りなくなっても、工務店同士で大工さんを融通しあっているので対処はしやすい」(函館・H社)、「今後もこれまで通り、自社大工で工事をする方針だが、人数は十分足りているので外注を頼む必要もない。同業者に聞いても、大工の手配についてそれほど大きな動きは感じていないようだ」(室蘭・I社)など、特にこれまでと変わりはないという声が多かった。


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