新聞記事

2010年06月25日号から

高性能住宅 Q&A 733回 黒アリが出たときどうするか

状況説明より、共感と誠実な対応

 今年もアリの季節がやってきた。6月に入って2週間あまりでアリの相談が立て続けに6件も編集部によせられている。不快な虫・アリ。ユーザーの嫌悪感と建築業者の誤解がクレームを招く。アリについてまとめた。

誤解されているアリ

 20100625_01_01.jpg住居に侵入するアリは、北海道では6月ころから活動が活発になり、8月ごろ羽アリになって飛び立つ。ほとんどはトビイロケアリと呼ばれるどこにでもいるアリだそうだ。ここで勉強するのはシロアリではなく、黒アリのほうです。
 古い木造住宅に出てくるなら、さほど問題ない。問題になるのは...。
1.新築したばかりのころ。
2.新築後数年してから。
3.リフォーム後すぐに。
 多くの場合は室内に出てきて気がつく。「気持ちが悪い」「アリが出るような(ひどい)家なのか」。
 アリが出ただけで最近の新築・リフォームはクレームになりかねない。それが第一の問題。
 第二の問題は、アリが基礎断熱材を巣としてしまう事。
 第三は、「アリが出たら木材が腐っていると疑え」を超えて、食害があったと勘違いしてしまうこと。
 基礎断熱材に巣を作ったとしても、断熱性能の低下は心配しなくていいと思う、とある専門家は語っています。
 20100625_01_02.jpgアリ退治は、ハエ・蚊用の市販の殺虫剤(エアゾール)でじゅうぶんですし、土から出てくるアリを退治するのもホームセンターに売っているアリ退治でじゅうぶん。シロアリ用薬剤を使えばより強力に効くと勘違いしている人もいるそうですが、それは間違いです。

4つのケースを見る
その1
 リフォームしてすぐにアリが出た。
 基礎断熱材を巣にした被害である可能性は低いでしょう。この場合は「不快だ」というクレームです。誠実に対応することが解決策です。
 新築で同じクレームをもらったある住宅会社は、アリを採取して保健所に持ち込み、調べてもらった。そして「シロアリのような木材をダメにする食害はない」という回答をもってユーザー宅を訪問。この対応で信頼を回復したそうです。
その2
 2度も基礎断熱材をやられている。
 断熱改修のおりに基礎断熱材に巣を作られ、対策を打ったつもりだったが、またやられたという例。
 基礎断熱がアリにやられても、一般住宅ではなかなか気がつかないと思います。また、敷地の条件などもあるでしょうから、『こうすれば出て、こう対策したら出ない』と言いにくいのです。
 基礎断熱材はその固さなどからアリのお気に入りらしく、蟻道をつくったり巣にしたりする傾向があります。
 アリはすき間から侵入します。なので基礎の打ち込みに型枠代わりに使う場合はいいのですが、あと貼りのときは布基礎としっかり密着させてください。少しでもすき間があると、この例のように出てきます。
 打ち込み後は、できればメッシュを伏せてモルタルを下塗りします。こうすれば小口などから侵入される心配がかなり低下します。
その3
 外壁リフォームでサイディングをはがしたところ、透湿・防水シートに穴が開いて、そこにアリがいた。
 もっとも新しく今年2月25日号のQ&Aに掲載した例です。詳しくはバックナンバーを見ていただくか編集部へお問い合わせください。透湿・防水シートにアリが穴を開けた疑いは、アリは穴あけはあまり得意ではなくかなり低いそうです。
 対処としては、アリが這い出てきた部分に市販されているハエ退治用などの殺虫剤をスプレーして(シロアリ駆除剤ではありません)、テープで穴をふさぐだけでじゅうぶん。
その4
 リフォーム時に腐った木材に食害が見られた。
 この場合も難しいです。腐った木材は基礎断熱材と同じく巣にしたい固さのようで、穴を開けて巣にすることがあることは確かなようです。ただ、シロアリのように健康な木材をダメにするのではありません。つまり、順序として腐った木材があったからアリがきたのであって、アリが木材をダメにしたのではありません。
 札幌市保健所に取材すると、同じ事を説明されます。またホームページには食害の心配はないと書かれています。

終わりに-クレームになりやすい
 20100625_01_03.jpg今回、施主、賃貸住宅のオーナー、研究者、駆除業者、そして建築会社といろいろな立場の方の話を聞く機会がありました。この中で一番深刻だと感じたのは、アリが出るとクレームになりやすい、という点です。
 「アリが出た」という施主の訴えに対して、『そりゃ虫が出ることもありますヨ』的対応をすると、本当にクレーム化しかねません。まず、ユーザーは虫が大嫌い、という気持ちを理解した上で、先の例のように誠実に対応することが求められているようです。要するに、技術的に解明することを優先すると、ときに感情のもつれが大きくなるということのようです。

札幌市保健所の該当ページ
http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f3seikatu/f80mushi/


「クロアリ」関連記事
住宅内にクロアリが侵入する事例を最初に報告した記事
寄稿・前編 トビイロケアリ(黒アリ)が 新築住宅に侵入する事例について (株)青山プリザーブ 青山 修三
(2008年・平成20年7月15号 北海道住宅新聞)


前年記事の続報(2009年07月15日号)
この記事はWebにアップしておりません。ご希望の方は試読紙のお申し込みからお問い合わせください。

リフォームで壁をはがしたらアリ
シロアリ駆除剤を使うべきかどうか(2010年02月25日号)

クロアリが出たときどうするか
状況説明より、共感と誠実な対応(この記事)

気密性が良くてもアリが侵入
「アリの侵入は築後6ヵ月以内が多く、1年以内の侵入報告がほとんど..」(2013年05月15日号)


2010年06月25日号から

大検証「地元新聞の住宅広告」

意外やエコポイント訴求

 20100625_02_01.jpg
 民間企業では売上の5%程度を販売促進・商品開発・広告宣伝コストとして投入するのが一般的と言われており、住宅会社も自社の宣伝などにある程度コストを投入する必要はある。今回は「地元新聞への広告」にテーマを絞り検証する(2回目・前回は平成20年8月25日号で実施)。

※検証記事と新聞掲載広告(全31作品)をご覧になるには試読をお申し込みください。
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年06月25日号から

◆わかりやすい記事を

◆わかりやすい記事を
札幌市 住設建材会社 所長
5月15日号に、熱交換換気装置を採用した場合のQ値低減と「換気用消費電力増分量」についての記事に大いに関心がありましたが、同僚といっしょに何度読んでも意味がわかりませんでした。記者さんから説明を聞いて初めて理解できましたが、関心を持っている分野なので、もう少しわかりやすく書いてほしかったです。

編集長から:ご指摘ありがとうございます。確かに難解な内容でした。今後はいっそうわかりやすい紙面づくりを進めます。また不明点は遠慮なく編集部へ問い合わせてください。
(℡011-736-9811、fax011-717-1770)

◆秋以降の見積り依頼がこない
札幌市 設備工事業 社長
 今年の住宅着工は、札幌市内を見る限り今のところ好調なようですが、お盆開け以降は下り坂に入るのではないかと懸念しています。例年なら5月の終わりになると、秋以降に着工予定の住宅の見積り依頼があるのですが、今年はまったくありません。実質先着順である長期優良住宅の100万円補助や住宅版エコポイントをもらうため、家を建てようと思っていた人はみんな今年前半に駆け込み着工したという声も聞くだけに、これから先、仕事があるのかどうか不安です。

◆大工がアポとるアフター訪問
十勝 工務店 社長
 当社では年1回、建てたお客さまのアフター訪問をしていますが、アポを取るのも訪問するのも建てた時の大工がやります。専門のアフター要員を抱える余裕がないという理由もありますが、一番のメリットはミスを二度と繰り返さないこと。ベテラン大工が多く、プライドもあるので社長が怒鳴ってもうまくいきません。しかしお客さまに言われると非常に効果があります。自分が担当した現場ですから逃げも隠れもできません。毎年大変ですが、今後も続けるつもりです。


2010年06月15日号から

2010年新設住宅 北海道

このままなら3万戸超えだが・・・

 北海道は今年、予想以上に賃貸市場が好調だ。専門家でさえも首をひねる回復で、このままのペースでいけば2010年計で3万戸を突破しそうな勢い。ただ、お盆以降の先行きに不透明感もただよっており、予断を許さない。

20100615_01_01.jpg4月までは高い伸び率
 4月までの住宅着工を見ると、持家と戸建て分譲(建売)は本紙が年初に予想した範囲で推移しており、累計で持家が6%増、建売が17%増。
 共同住宅系でも木造アパートは予想通りの動き。昨年よりは増えているものの事業性の低下などから累計で6%増。
 業界筋が一様に首をかしげるのが賃貸マンションの急回復。4月累計で71%増。このペースで行くと2年前の9千戸水準に戻る。3年連続で急降下した反動が原動力となっているほか、そもそもの需要量は貸家全体で1万7~8千戸程度あるということだろうか。
 分譲はマンションが予想をさらに下回る66%減。このペースで行くと年計で500戸にも達しないかつてない低水準に終わる。鋼材の値上がりもあり、マンションは厳しい状況が続いている。

試算別で2万8千戸台
 4月までの成長率を年間に当てはめると、2010年の住宅着工は3万1千戸台になる。
 しかしこういう資料もある。北海道は例年4月の着工数が年平均値に近い。それを元に計算すると2万8千から9千戸。いずれにしても3万戸到達は微妙だ。


2010年06月15日号から

札幌市・木造耐震化補助始まる

今年から設計・工事も対象

 札幌市では、これまで行っていた木造住宅の耐震診断に対する補助に加えて、新たに耐震設計・耐震改修工事にも必要な費用の一部を補助する「木造住宅の耐震化補助制度」を開始。16日から申し込みを受け付ける。
 同市では平成18年から木造住宅の耐震診断に補助を行い、年平均35~50件の利用があったが、その結果を見るとほとんどの住宅は現在の新耐震基準と比べて耐震性が不足していたという。そこで診断だけにとどまらず、改修工事まで補助を行うことで市内の木造住宅ストックの安全性を高めようと、今年から耐震設計・耐震改修工事にも補助を行うことになった。予算枠は耐震診断が600万円、耐震設計と耐震改修工事が合わせて1千万円。
 対象となるのは 1.戸建て・共同建て・長屋の木造住宅 2.昭和56年5月31日以前に着工・建築された在来軸組工法の住宅 3.地上3階建て以下かつ木造部分の階数が2以下 4.住宅部分の床面積が延床面積の2分の1以上―のすべてに当てはまる札幌市内の住宅。さらに耐震設計と耐震改修工事については、耐震診断の結果、上部構造の評点が1・0未満の住宅を、評点1・0以上に引き上げることが条件となる。
 また、診断・設計を行う者と改修工事の工事管理者は、札幌市の講習を受けて登録済みの耐震診断員であること、改修工事の施工業者は建設業許可を受けていることがそれぞれ必要。

市で行う他の補助も併用可

 補助額は、1戸あたり耐震診断が費用の3分の2以内で最大3万円、耐震設計が費用の3分の2以内で最大10万円、耐震改修工事が費用の23%以内で最大40万円。すべて申請すると最大53万円の補助を受けることができる。
 申込受付期間は今月16日から12月10日までで、予算枠が埋まり次第締め切る。
 なお、同市が省エネ改修・バリアフリー改修を対象とした住宅エコリフォーム補助制度や新エネ・省エネ設備を対象としたエネルギーecoプロジェクトなどとの併用も可能。
 詳しくは同市都市局建築指導部建築安全推進課(011・211・2867、FAX011・211・2823)へ。


2010年06月15日号から

昔の家はみんなシックハウス?

◆昔の家はみんなシックハウス?
道北 工務店 社長
 住宅版エコポイントの影響か、今年は古い家の断熱改修に関する問い合わせが多いですね。話を聞くと、やはり寒くてしょうがないという家がほとんど。冬が来るたびに風邪を引くなど体調を崩したりすると言います。昔の家は隙間が多く、自然換気で室内の有害化学物質が排出されていたから、シックハウスにかかる人もいなかったと言う人もいますが、とんでもない。寒くて体調を崩す家なんて、それこそシックハウスみたいなものではないでしょうか。

◆某大手会社の見積り
札幌市 リフォーム会社 社長
 今年は1000万円を超える大型リフォーム物件が多くて忙しい日々を過ごしています。大手リフォーム会社との競合も増えてきています。ここが腕の見せ所で、今のところほとんど勝っています。お客様に大手会社の見積りを見せていただくと値段の高さにいつもびっくりします。築15年の住宅のリフォームで1500万円という見積りを見たときは「道民を舐めてるのか」と思いました。まあそのおかげで当社が仕事をいただけているのかと思うと感謝しないといけませんが。


2010年06月10日

6月26日@札幌 技術賞を受賞したエコ融雪の説明会

 日本住環境(株)札幌支店は6月26日(土)午前10時から11時45分まで、札幌市中央区北2条西7丁目かでる2・7 510会議室で、換気排熱利用エコ融雪システム『ゆうらく』講演会を開催する。
 2010年の日本建築学会北海道支部技術賞を受賞した、エコ融雪システム『ゆうらく』の開発の経緯と、ロードヒーティングの融けぐあい、実燃費などについて、開発者の川本清司氏(北欧住宅研究所所長)が講演する。
 入場料は無料、定員は40名。問い合わせは、日本住環境札幌支店(℡011・222・6330)。
電子メール:sapporo@njkk.co.jp


2010年06月05日号から

高性能住宅Q&A 731回 在来の気密と先張り簡略化3

安全性考え後施工も

 20100605_01_01.jpg
差し回りの先張りについては、前々回(4月25日号)で紹介しましたが、旭川など道北地域では、建て方の途中で2階の梁を落とし込む時に先張りシートを施工するのではなく、建て方が終わってから2階の床を張る前に先張りシートを後施工する工務店もよく見かけます。
 20100605_01_02.jpg先張りシートを後張りする理由は、大工の安全確保と先張りシートのちぎれ防止。梁の落とし込み時にシートを先張りする一般的な方法だと、風などで胴差しの上にシートがかぶさってしまった場合、大工がその上を歩いて足を滑らせてしまう危険性があります。特に雨や雪が降った時には、かなり足もとに注意する必要があると話す工務店さんもいるほど。
 また、海沿いの風が強い地域では、風であおられた先張りシートがちぎれてしまったり、最悪の場合、例え0・2mm厚のシートを使っていたとしても、そのままどこかに飛ばされてしまうこともあるようです。
 施工は、建て方終了後、軸組屋外側の構造用合板を張って窓も入ってから。2階の床下地合板を張る直前に、高さ50cm程度に切った防湿・気密シートを胴差回りにタッカーで留め、梁が当たる部分はY字に切込みを入れて落とし込み、梁の回りをテープ処理。
 梁との取り合いは、テープ処理だけだと将来的にテープが剥がれてくる心配もあるので、テープの上から細かくタッカーを打ったり、合板の切れ端など端材を打ち付けたりして押さえます。
 また、先張りシートのジョイント部分は柱などの木下地上で30cm程度の重ねを取ります。

通常の先張りと性能は変わらず

 この方法で施工している工務店の1社は、一般的な先張りと比べて気密性能の差はまったくないといい、気密測定で相当隙間面積=C値0.5cm2/m2を間違いなく切ることが可能とのこと。
 四角いプランで40坪程度の住宅であれば、大工は脚立を使って1~2時間程度で張り終えるので、慣れてしまえば一般的な先張りより施工もラクになります。


2010年06月05日号から

札幌市エコリフォームに最大50万円補助

7月1~14日に受付

20100605_02_01.jpg 札幌市では省エネ改修・バリアフリー改修に最大50万円を補助する「札幌市住宅エコリフォーム補助制度」の事業者向け説明会を、去る5月31日に札幌市民ホールで開催。それによると、補助申請は7月1日から14日まで受け付け、補助要望額が予算枠の1500万円を上回る場合は抽選によって補助対象者を決めることとなった。
 この補助制度は札幌市が今年度新たに設立したもの。1.市内に住宅(賃貸除く)を所有している市民が行う改修工事 2.建設業の許可を受け、市内に主な営業所を持つ業者が施工―を条件とし、一定の省エネ改修・バリアフリー改修に対して、実際にかかる工事費または市で規定する標準工事費のうち、いずれか低い金額の10%、最大50万円を補助する。
 省エネ改修やバリアフリー改修にかかわる国の減税措置は併用可能だが、同一の工事で住宅エコポイントや他の国の補助制度との併用はできない。ただし、バリアフリー改修は市のエコリフォーム補助、省エネ改修は住宅エコポイントを利用するなど、工事箇所が明確に区分できる場合は併用も可能だ。

居室の窓すべて次世代対応に

 省エネ改修・バリアフリー改修は、いずれか一方でも両方でも可。省エネ改修の場合は、居室の窓すべての改修を必須とし、そのうえで行う床・壁・天井いずれかまたは2つ以上の部位の断熱改修も対象。改修部位はすべて次世代省エネ基準に適合することが必要になり、窓の場合はサッシとガラスの種類、床・壁・天井は断熱材の種類と厚さで適合の有無を判断する。住宅1棟の熱損失係数=Q値による性能規定では判断しない。
 バリアフリー改修は、1.満55歳以上 2.要介護または要支援認定者 3.障がい者―のいずれかの該当者または同居者が行う改修工事で、1.通路等の拡幅 2.階段のこう配緩和 3.浴室改良 4.便所改良 5.手すりの取り付け 6.段差解消 7.ドアの改良 8.滑りにくい床材への取り換え―をそれぞれ対象とする。

契約 ・ 着工は交付決定後

 補助申請の受付期間は7月1日から14日までの2週間。工事見積書や施工前・施工後の設計図書、工事箇所の写真、住民票の写しなどの必要書類を同市都市局市街地整備部住宅課に提出する。住宅のオーナーに代わって業者が代理申請することも可能。
 申請された補助要望額の合計が補助枠の1500万円を上回った場合は、7月23日午後2時から市役所内で抽選会を行い、補助対象者を決定することになる。抽選に当たると7月30日までに補助金交付決定通知が送られてくる。
 受付期間に補助枠に達しなかった場合は、10月29日まで順次申請を受け付け、補助枠に達した時点で締め切る。
 なお、工事の契約・着工は補助金交付決定通知が送られてきた後に行うこととなっているので注意したい。
 補助金は工事完了後に完了届と必要書類を提出した後、補助金確定通知書が送られてきてから、3月31日までに請求書を提出。その後約2週間程度で振り込まれる。
 問い合わせは札幌市都市局市街地整備部住宅課(011・211・2807)へ。


2010年06月05日号から

Q1.0運動さらに推進 新住協総会@松島

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 NPO法人新住協(鎌田紀彦代表理事、室蘭工業大学教授)は平成22年の通常総会・全国研修会を宮城県松島で5月21・22日の両日開催。全国から270名を超す参加者が鎌田教授や会員による講演・発表に耳を傾けた。
 基調講演で鎌田教授は、共通の理念を掲げて活動を開始したパッシブハウス・ジャパンとその代表理事である森みわ氏、そしてパッシブハウスとの関係を前向きに維持・発展させながら、Q1・0住宅運動をさらに幅の広いものにしていきたいと抱負を語り、会員に対していっそうの省エネへの取り組みを促した。
 会員からの発表では、勇和建設(株)・齋藤社長(札幌)が断熱リフォームの実例と施工手順などを解説。金子建築工業(株)・金子社長(岐阜)は基礎断熱材にグラスウールを使った住宅の経年変化を調査し報告。
 (有)木の香の家・菅原氏(岩手)は施工コストを抑えることに挑戦した200㎜断熱の現場を報告。コーナー札幌㈱・菊地専務(札幌)は暖房エネルギーの消費量測定装置について実測状況を報告。(株)マツナガ・松永常務(東京)は麻の繊維を混ぜて沈下を防ぐセルロース・ファイバーの吹き込み工法を説明した。
 20100605_03_02.jpg翌日は、熱損失係数と暖房エネルギー負荷計算ソフト「QPEX」の演習と、宮城の住宅見学に分かれた。
 QPEXは冷房負荷計算もできる最新のバージョン3・0を中心に解説。3・0は冷房計算を中心とする機能追加だがバグがあるといい、長期優良住宅などには、土の熱抵抗を1・0に設定するなど、新しい行政の動きに対応したバージョン2・07を使う。

写真上:鎌田教授が提案する完全外付けの引き違い窓。下屋の軒で日射遮へいと外装保護をしている。
写真下:講演する鎌田教授。


2010年06月05日号から

◆アパートもエコポイント

◆アパートもエコポイント
札幌近郊 工務店 部長
 当社は木造アパートなどの賃貸事業もコンサルから仲介までやっています。アパートでもエコポイントが1戸あたり30万円(ポイント)もらえるので、6戸1棟のアパートで180万円相当。その威力は絶大で、次世代省エネ基準対応を提案するとほとんどのオーナーさまがOKを出します。分譲マンションも一気に次世代基準対応が進んでいるようです。ただし、札幌市内は賃貸住宅の収益性が低下していて、新築でアパート経営を始めること自体がちょっと難しいですね。

◆エコポイントの省エネ効果絶大
札幌市 エネルギー関連 課長
 1月ころの貴紙や編集長コラム(ブログ)を見て、札幌市内の大手住宅会社があまりエコポイントに対応していないことを知りました。半信半疑でしたが、営業してみると本当に対応していなかった。この半年でほとんどの会社が対応を終わりましたが、驚きでした。いま、マンションが分譲も賃貸も一気に次世代省エネ対応を進めています。エコポイントは当社にとってものすごい追い風ですし、高断熱化に大きく貢献していると思います。

20100605_04_01.jpg◆ネット広告の反響
札幌市 建材メーカー 係長
 一般消費者にアピールしたいと思い、当社の製品をネット広告に出したところ、資料請求問い合わせなどの反応が何件も出てきました。実は雑誌広告も出してみたのですが、ネット広告の反応の方が2倍多かったのです。広告料金はネットの方がずっと安いので、コスト効率を考えるとネット広告が断然オトクかなあと思います。売上が伸び悩んで広告費の捻出が難しくなってきているご時世なので、今後も効果的な使い方を検証しようと思います。


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