昨年に続き、今年も事業仕分けが今日(25日)まで行われ、注目を集めている。住宅に関連する仕分けでは、住宅金融支援機構が4月23日に対象となった。もとより事業仕分けは国民の代表が中心となって行うものだが、本紙は業界都合だけにとどまらず消費者目線からも課題の多い点について、問題を整理した上で解決の方向を示してみたい。
●中央集権がなじまなくなっている
〈全国共通基準としての建築基準法〉
まず最初に検討しなければならないのは、建築の基本を規定する建築基準法だ。
同法が不要だなどとは誰も言うまい。問題は、狭い国土の中に亜寒帯から亜熱帯が分布し、人口密集地域と過疎地域が混在する日本で、東京ですべてが決められる(中央集権的)あり方が、徐々になじまなくなっているという点だ。
中央集権のメリットは、東京で一元管理ができること。全国ネットの住宅メーカーなどナショナルメーカーにとっては、仕様決めなどがきわめてスムーズに進む。
しかしこんな事実もある。分譲マンションでは東京で決まった仕様が北海道・札幌にも持ち込まれるが、それがあまりに寒冷気候に合わない場合、工事仕様の段階などで変更になる。ただ、東北などでは東京基準で建てられるため、温熱環境があまりにひどいマンションがどんどん増える。
温熱環境や断熱のほかにも、住宅密集地や狭い道路を前提として作られている基準が多いとされる。
地方の実情にあった基準は地方が作る。建築こそ地方分権がもっとも必要な分野の1つではないだろうか。都道府県レベルが地域基準の1つの目安となると思う。
●整理して住宅新法に一本化へ
〈相次ぎ制定された住宅新法の整理〉
建築基準法を補うために、住宅を対象とする新法がこのところたくさん登場した。品確法(通称)による瑕疵(かし)保証の10年義務化と性能評価制度、瑕疵保証を保険等によって担保することを義務化する瑕疵担保履行法、そして長期優良住宅法。また、告示という形を取った省エネルギー基準。さらに、これらの法規に補助金などがからんでいる。まぎらわしい上に事務の手間も多く、苦労して認定などを取得しても行政や公的機関は認定に対する結果責任を取らない仕組みになっている。
複雑になった関連法規はいちどリセットし、住宅の基準を定める新法に一本化するべきではないだろうか。新法は、耐震や採光、断熱などを定める実体基準と、申請行為などの手続き面、そしてそれらに伴う責任の所在を明確にすること、そして、地域基準は各地域にゆだねるとともに情報公開を徹底するべきだ。
●矛盾だらけ...
〈消費者保護と瑕疵保険〉
新築住宅を建てるとき、売り主側が瑕疵保証保険に入ることが義務化された。当初は耐震偽装で倒産した企業のマンションを購入した消費者の悲劇を繰り返さないため、ということだったが、実際の法律運用はだいぶ違うかたちとなった。保険の引き受け基準は横並び、重過失に保険金を出さないなど、制度趣旨が運用に反映されていない。
そもそもこの保険は、欠陥住宅を建てた業者のために欠陥なくできあがった家の保険掛け金が利用されるという矛盾をはらんでいる。また、耐震偽装を見逃した建築確認申請のあり方と責任を見直すことなく、保険というかたちでリスクをカバーしようとしたことに、逃げはなかったのだろうか。
消費者保護は、判断基準と判断材料(情報)を消費者に提供するかたちで行えば、義務保険より低コストで安全を担保することができるのではないか。そのためには、品質検査を行い、その結果が公開され、融資が連動し、消費者は業者選びを自身の責任で行える環境が整っていることが求められる。
行政刷新会議ホームページ
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