新聞記事

2010年05月15日号から

現場のジャッジ 第11回 北方型サポートシステムの使い勝手

 20100515_02_01.jpg道が国に先駆けて立ち上げた住宅履歴の作成・保管システムが北方型住宅サポートシステム。今では北方型住宅ECOが国の補助事業に選ばれたこともあり、利用する工務店も増えている。その使い勝手やメリットについて聞いた。

3年前から全棟登録 
 (株)奥野工務店(札幌市、奥野智史社長)では、3年前から全棟でサポートシステムを利用。同社が入会している"欠陥住宅を考える会(現北海道の家づくりを学ぶ会)"で、全棟北方型住宅での建設推進をパンフレットでうたったことがきっかけだった。
 サポートシステムはそれより前から運用を開始していたが、奥野社長によると「当時は専用ソフトをダウンロードしてパソコン上で使う形だったが、うまく動かなかった。それでいつも道に電話してどうやればいいか聞いていたが、結局使えなかった」という。
 その後、同社が全棟北方型住宅対応を開始した同時期に、ウェブブラウザーから利用できるサポートシステムのWeb版が提供され、これまで登録した物件はすべてWeb版で情報入力を行っている。

将来的に役に立つ
 サポートシステムについて奥野社長は「お客様にとっては安心感につながるシステム」と評価する。
 「サポートシステムを利用すれば、当社とお客様と北海道建築指導センターの3者で設計・施工データを保管することになるので、いつの間にか図面などがなくなってしまったという心配がなく、将来的に何か問題が発生した時や売買する時にはそれらの情報が役に立つと営業段階で説明している。
 それによって建主に安心してもらえるし、できない業者との差別化にもなっているのでは」と話す。
 施工の要所要所で写真を撮り、情報を入力することは、自社の現場を改めて見直す機会にもなるという。

初めて利用するときは注意
 それでは使い勝手はどうか。同社セールスエンジニアの稲辺賢司氏は「最初は入力画面の記述があいまいだったり、何とでも解釈できる記述があったりして、いくつか道にも質問した。例えば開口幅について入力する時、芯々が内々かなど、解説書を見ないとわからずに苦労した。また、入力しようとしている項目が、他の入力項目の影響で操作を受け付けてくれないこともあった。今では慣れてしまったが、初めて利用する時は注意したほうがいい」と語る。
 今時間がかかっているのは、設計情報を入力するにあたってCADデータをPDFデータに変換し、アップロードする手間。特に北方型ECOでは構造計算を行った場合、計算書類をアップロードするのにかなりの時間を取られることになるという。

今後も積極的に利用
 建主にもパスワードを発行して、入力した施工過程を見ることができるのもサポートシステムの特徴の一つだが、「工事の進行状況はお客様が見ても確認できるでしょうが、そこにある写真が何を意味しているのか、なぜそのような施工が北方型では必要なのかといったことはおそらく理解できないのでは。一般ユーザーでも意味がわかるものにしてもらいたい」と稲辺氏。
 まだ改善の余地もあるようだが、同社では今後も全棟での利用を進めていく考えだ。

photo:奥野智史社長(左)と稲辺賢司氏


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