新聞記事

2010年04月05日号から

"新築を超える"

性能リフォームの打開策 シリーズ1

 既に世帯数を超える住宅ストックがある現代。エコと住環境改善を目指すなら中古住宅の性能リフォームが急務ともいえる。未だ活況を呈していない「性能リフォーム」市場に打開策はあるのか?
 今回はリフォーム会社・工務店の施工力・提案力向上のために始動した「北海道住宅高性能リフォーム普及支援協議会(あったかリフォーム倶楽部)」の設立記念講演会を取材した。

1980年代以降の住宅が主流
20100405_01_02.jpg 約60名のリフォーム会社・工務店、専門家などが集まる中、同会アドバイザーである道立北方建築総合研究所の福島明居住科学部長が性能リフォームに関して熱いトークを展開。性能リフォームで受注を拡大させようと熱心にメモをとったり頷く参加者が多かった。
 発言の要旨は左表掲載のとおり。すでにリフォーム市場は、1980年以降に建築された住宅。「安価なリフォームで新築を超える性能を実現できる住宅ストック」が7割を占めている。
 これらの住宅を性能リフォームすることで顧客にも喜ばれ、環境にもやさしく、住宅リフォーム会社・住宅会社にとっても収益性が高まると強調した。

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施工力と提案力を支援
20100405_01_03.jpg 同協議会幹事の高杉昇氏(はるす工房代表)は「リフォームで壁の一部にポリフィルムを入れただけで気密工事をしたかのようなケースが少なくない。技術面を支援するので身につけてほしい」
 「性能リフォームで安価に性能を高めることができる既存住宅でも、安易に建て替えを薦める傾向が目立つ。技術を身につけエンドユーザーに性能リフォームをお勧めできるようになってほしい」と強調。
 「相当隙間面積(C値)1を切る気密リフォーム工事ができるようになるためには、理屈を知るだけでなく熟練の施工力、いわば"現場力"が必要になる。まずは熱損失係数(Q値)とC値が1・5を切り、耐震強度も現行法並みの性能に高めるリフォームができるノウハウを協議会が提供したり現場施工アドバイスを行う」と述べた上で「協議会が施工店の認定を行ったり、区民センターなどでの市民セミナーも実施し、営業支援も行っていく」と述べた。
 参加したリフォーム会社・工務店などからは「性能リフォームには展望があると思うが、当社はまだ本格的なアプローチはしていない。冬季の受注減対策としても興味がある」「断熱改修のリクエストは多い。コストを抑える手法とともに興味を持っている」「ユーザーさんに対する説明不足を感じる。営業力を強化したい」「既存住宅の性能アップを上手に提案していきたい」「連携して集客強化を図れればうれしい」といったコメントが寄せられた。
 同協議会は、住宅の性能リフォームによる住環境改善と温室効果ガスの削減を目指す環境省認定の協議会で、性能リフォームの基準とマニュアルづくり、その基準をクリアするための設計・施工力の支援、クリアできる会員の認定、エンドユーザーへの性能リフォームに対する啓蒙活動を行う。会長は北海道大学繪内正道名誉教授。
 24日には札幌市手稲区民センターで市民セミナーを開催する。


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