新聞記事

2010年02月15日号から

現場のジャッジ 第8回 断熱ブラインドの悩み

 住宅の性能向上とともに開口部は二重サッシからペアガラス入りサッシ、トリプルガラス入りサッシと変わってきた。ところがガラス部の性能が上がると熱損失が少なくなる代わりに太陽の熱も室内に入りにくくなり、住宅の性能向上と太陽熱のパッシブ利用は両立しにくい。なんとかならないものだろうか。

ハニカムサーモを採用

20100215_03_01.jpg 勇和建設(札幌市、齋藤保雄社長)は、「南側は日射取得率の高いペアガラス入りサッシで太陽熱を室内に取り込み、夜は断熱ブラインドを下ろすことで室内の熱を封じ込める」という考え方で、2年半前に断熱ブラインドのハニカムサーモスクリーン(発売・セイキ総業)をQ1・0住宅に採用した。
 ハニカムサーモスクリーンは、断面がハニカム(=蜂の巣状)形状のプリーツスクリーンを二重に張り合わせたダブル・ハニカム構造。ハニカム内部が空気層となって断熱する。
 プリーツスクリーンの意匠性と断熱戸の断熱性能の特徴を合わせ持っており、さまざまな色が選べ、遮光タイプもある。価格はカーテンの2倍程度(齋藤社長)するが、カーテン代わりに設置することが多いので、住宅全体の予算で見ればさほどアップにはならないという。単体ペアでは頑張っても熱貫流率1・5W程度の性能なのに対し、ハニカムサーモスクリーンを併用すれば1・0W近くまで性能が向上すると見ている。

※写真:齋藤保雄社長


効果高いが故の・・・

20100215_03_02.jpg 取り付けた住宅では、断熱効果への評判も上々。昼間スクリーンを上げれば日差しがさし込んでパッシブ効果で部屋を暖め、夜はスクリーンを下ろすことで冷気が室内に侵入するのを防ぐ。入居者からも「とても暖かい」と高評価。一方、性能が良い故の悩みも。
 それは床面の結露だ。断熱ブラインドは室内に取り付けて熱を遮ることはできるが、完全な気密ではないので湿気がブラインドと窓の間に入り、床面で結露することがある。引き違いタイプは注意が必要だ。腰高窓では問題は起きていない。
 同社では、基礎断熱下に放熱器を置いて床ガラリから室内に放熱する方式を取っているが、ネタレス工法を採用しているため床ガラリの位置をスクリーンと窓の間の床に取ることができず、床面を暖めることができない。
 齋藤社長は、「設計の工夫で何とかなるはず」と考えている。これから設計に入る住宅では、テラス窓の取付位置を10cmほど上げて床面に窓の冷気の影響を与えにくくしようとしている。「市販の結露防止用電気ヒーターを取り付ける選択肢もあるが、本末転倒だと思うのでなるべくやりたくない」と話している。

※写真:ハニカムサーモスクリーン採用の施工例。性能向上のため「断熱レール」という縦枠を取り付けている


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円


関連記事

powered by weblio


内容別

月別

新着記事