新聞記事

2009年12月05日号から

エコキュートで容積率緩和 札幌市

20091205_02_01.jpg 札幌市では、自然冷媒ヒートポンプのエコキュートなど、省エネ・環境負荷低減設備機器を室内に設置する場合、一定条件を満たせば床面積1m2まで容積率を割増しできる措置の適用を開始。近々エコキュートを採用し適用第1号となる(株)じょうてつの分譲マンションが着工する。

 今回の容積率緩和措置は、建築基準法第52条第14項1号「機械室に類する部分の床面積が著しく大きい建築物で、特定行政庁が許可したものの容積率はその限度を超えることができる」という規定を運用したもの。1.室内の設置スペースを壁等で囲う 2.設置スペースと建物のエントランスなどに容積率緩和対象物件と明示 3.契約書等に容積率緩和対象物件であることと、設置スペースを他の用途に転用できないことを明示―などが条件で、市との事前協議を経て許可申請を提出し、建築審査会の審査を通れば適用可能となる。
 対象物件は戸建住宅なども含めたすべての建築物で、エコキュートのほか太陽光発電や燃料電池なども適用対象。ただ、許可申請料に16万円かかり、建築審査会の審査も2~3ヵ月かかるため、「戸建住宅での適用は現実的ではない」(札幌市建築指導部)という。
 建築基準法第52条第14項1号については、平成14年に国が省エネ関連機器の設置に適用できるという技術的助言を各自治体に通知。これを機に、今年3月末まで全国で大都市圏を中心に90件以上の適用実績が出ている。
 札幌市では地球温暖化など環境問題への対応として、機器の寒冷地対応や本州での事例などを検証した結果、札幌でも適用可能と判断。じょうてつのエコキュート採用分譲マンションもきっかけとなり、札幌市は今年9月から運用を開始した。

 緩和措置の適用第1号となったじょうてつの分譲マンションは、札幌市北区に建設する全43戸のオール電化マンション「じょうてつアイム北29条」(仮称)で、給湯にエコキュートを採用するほか、リビングの暖冷房としてヒートポンプエアコンを導入する。2011年3月に竣工予定で、暖冷房・給湯ともにヒートポンプ機器を採用したオール電化マンションは道内初。
 同社では環境配慮型のマンションを企画・開発する中でエコキュートの採用を検討。北海道電力(株)やメーカーの協力により、事前に寒冷地で使用するにあたっての疑問点などが解消されたほか、容積率の緩和で1戸あたりの専有面積が1m2増える分だけ販売面積も増加するため、設備のコストアップ分も吸収できると見込んで採用を決めた。
 同社不動産事業部都市開発部では「エコキュートには以前から着目しており、容積率の緩和についても、今後の採用を進めるうえで、まず実績を1棟作ろうと考え札幌市に適用許可を申請した。エコキュートは戸建てで普及が先行しているが、分譲マンションでも考えていきたい」と話す。

 なお、エコキュートに関しては、道内での導入台数が今年10月末現在で2088台。北海道電力でも電気料金とCO2排出量がともに電気温水器の2分の1になるなど省エネ性・環境性の高さをアピールして普及に力を入れており、札幌市の容積率緩和措置運用開始を機に、分譲マンションでの普及によりいっそう力を入れていく考え。
 同社営業部住宅電化グループでは「去年、今年とエコキュートの寒冷地対応が進み、メーカーも道内での販売に力を入れてきている。環境の時代にマッチした設備機器として、給湯も暖冷房もヒートポンプを積極的に提案していきたい」と話している。


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