新聞記事

2009年12月25日号から

「換気の可視化が大切」

パッシブシステム研修会で北総研・福島氏

NPOパッシブシステム研究会(中野隆二理事長、(有)フォルムデザイン社長)では、去る3日に札幌市内のトステムショールーム内で技術研修会を開催。参加した約30名以上の会員がパッシブ換気の設計・施工方法や機械換気の考え方などについて学んだ。
同会理事で(有)奈良建築環境設計室所長の奈良謙伸氏と同会顧問で道立北方建築総合研究所居住科学部長の福島明氏が講師を務め、最初に奈良氏がパッシブ換気の設計・施工について講演。これまで自ら設計したパッシブ換気採用住宅の事例をもとに、床下に導入した新鮮外気を外壁と床の取り合いに設けたスリットから室内に給気する手法や、屋根に排気筒を設置せず2階外壁から排気を行うことで排気口部分のメンテナンスを容易にする手法などを紹介。
続いて福島氏が『パッシブ換気と機械換気』をテーマに講演し、機械換気を考えるうえで重要なこととして、換気設備が"止まらないこと"、居住者が換気の運転を"止めないこと"、メンテなどを"人任せにしないこと"の3つを指摘。特に"人任せにしないこと"については「換気ファンが室内のどこに付いているのか、給排気口がどこにあるのか、掃除はどうすればいいのか、ユーザーはわからない。換気設備は目に見えることがとても大切で、換気ファン本体やフィルターボックスなどは天井ふところなどに隠ぺいせず、居住者が見てわかるよう室内に露出することが大切」と強調した。


2009年12月25日号から

断熱改修の技術セミナーに80名

テキストも完成

20091225_02_01.jpg社団法人北海道建築技術協会と北方圏住宅研究会が共催する「性能向上リフォーム技術セミナー」が9日札幌市内で3時間にわたって開かれ、全道から80名を超す経営者や技術者が集まった。全員が最後まで席を立たずに、熱心に講演に耳を傾けた。
このセミナーは主催者である両会がこのほど発行した「住まいの高性能リフォームの技術・事例編」をテキストに行われたもの。テキストは昨年5月に発行された技術マニュアルをもとに工事した事例を詳しく紹介しており、2部作。
当日は性能向上リフォームの内容と目標水準についてダウ化工(株)主任研究員の平川秀樹氏が説明したあと、断熱・気密・開口部について、事例物件の設計・監理を行ったこその設計事務所の小園晴茂氏が説明。換気と暖房・気密測定については(有)北欧住宅研究所の川本清司氏が解説した。
小園氏は躯体外側からの気密・断熱施工に関し、「防湿・気密シートを張ったあと、発泡プラスチック断熱材を張っていくが、この時、突きつけ部は12mm程度のクリアランスをとって張り、目地は現場発泡ウレタンを充てんする。開口部廻りも同様」と断熱施工の注意点を述べたあと、気密レベルについて「C値2cm2/m2をクリアすれば良いという人もいるが、自分はリフォームであっても理想とする性能を目指すべきだと思う。マニュアルでも事例でもC値0・5を基準としたのはこのためだ」とした。
川本氏は換気設計に注意が払われていない現状が問題だとした上で、計算によって換気設計が可能なこと、施工後の検査を行うことなどを紹介。また暖房については、放熱器と熱源の容量が十分でも、配置が悪いと寒い空間ができることや、三種換気の冷たい給気の処理方法を紹介した。
マニュアル・事例編ともに冊子は頒価2千円。入手希望は主催者の両会へ(協会tel.011・251・2794、研究会tel.011・709・5801ダウ化工内)。


2009年12月25日号から

来年2月にサミット

道内と北東北から工務店結集

北海道と北東北の工務店が集い、厳しい景気をともに乗り越える活力と連帯を目指す「北方圏住宅サミット」が来年2月20、21の両日、札幌・定山渓のホテルで開かれる。地域や工法の違いを超えて地域工務店が集まり、交流する初の取り組みだ。
このイベントはアース21、e―ハウジング函館、十勝2×4協会が中心となり、道内および東北各地で精力的に活動する工務店団体に声がけ。20を超える団体の賛同を得て開催にこぎ着けた。400人規模を想定している
住宅着工の減少、相次ぐ法制度の改正、地球温暖化防止などの流れの中で、工務店も大きな変革の波にさらされている。同サミットは情報の共有を進めるとともに、関係機関への要望や提言も行っていく。
サミットでは、国土交通省や北海道、札幌市、住宅金融支援機構、全建連などから来賓を迎え、シンポジウムも予定されている。
12月15日には各団体の代表が集まり、事前の全体会議も開かれた。
実行委員長の橋本政仁氏は「地域から工務店の声をあげたい。われわれが地域を守り、地域を豊かにしていく力になることをこの場で改めて宣言したい」としている。


2009年12月15日号から

住宅版エコポイント創設

 政府はこのほど、経済・雇用の安定化を目的として住宅版エコポイント制度の創設などを盛り込んだ緊急経済対策を閣議決定した。国会での成立は来年になるが、エコポイント制度は来年1月1日以降に着工した住宅が対象になる見込みで、住宅関連では他に高効率な太陽熱利用システムの普及支援やフラット35Sの金利引き下げ、贈与税非課税枠の拡大、省エネ基準見直し、建築確認の改善、木造住宅振興などが予定されている。

木造戸建ては次世代基準クリアが条件

 今回閣議決定された緊急経済対策は、雇用・環境・景気を3本柱とし、予算規模は国費ベースで7・2兆円。この中で政府は金融対策によって景気の下支えを行い、住宅投資の活性化によって本格的な景気回復を目指す考えだ。今年度2次補正予算に盛り込み、年明けの通常国会に提出する。
 具体的な内容についてはまだ明らかになっていないが、大きな目玉はすでにマスコミ等で報道されている住宅版エコポイント制度の創設。これは地球温暖化対策と景気対策の両立を目指し、エコ住宅の新築やリフォームに、エコポイントを与えるというもので、1千億円の予算を計上。
 エコポイントはすでに省エネ家電の購入を対象に実施されており、ポイントは様々な商品・サービスと交換可能。どのような住宅にいくらぐらいのエコポイントを与えるのかが大いに気になるが、現時点では新築の場合、1.平成22年1月1日以降に着工 2.原則として補正予算成立日以降に工事が完了して引き渡し 3.事前に住宅省エネ基準(次世代省エネ基準)または住宅事業建築主基準(トップランナー基準)への適合を性能評価機関が認定した住宅―という条件をすべて満たすこととし、住宅省エネ基準への適合は木造住宅のみ対象となる予定。ポイントは金額換算で30万円程度になりそう。
 また、太陽エネルギーの変換効率が40~60%と高い住宅向け太陽熱利用システムの設置に補助を行い、リース方式によるビジネスモデルの普及拡大も図る。
 システムとしては太陽熱給湯機を想定しており、設置からメンテナンスまで一貫したサービスを提供する事業者に対し、補助を行う考え。

贈与税非課税額を3倍以上へ

 金融・税制関係では、住宅金融支援機構の長期固定金利ローン・フラット35S(優良住宅取得支援制度)における大幅な金利引き下げを実施。 予算4千億円を計上し、平成22年12月末までに優良住宅を取得した場合、金利引き下げ幅を現行の0・3%から1・0%に拡大。住宅融資保険の保険料率引き下げも行う。
 フラット35Sは20年金利引き下げタイプであれば、現時点でフラット35の金利を2・6%(北海道銀行12月適用)とすると、借入額2千万円、返済期間30年の場合、総返済額は300万円以上少なくなる。
 また、平成22年度税制改正で、新築やリフォームのために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税額を拡大。中高齢者の預貯金を若い世代の住宅取得に回し、景気を刺激する。非課税額は、現行の610万円から2000万円程度になると見込まれる。

省エネ基準の見直しも

 法制度面では省エネ判断基準の見直しを行うとともに、建築基準法で建築確認の手続き等を改善する。このうち建築確認の手続き等の改善は、迅速な審査と申請図書の簡素化を目的に行われる。
 このほか、環境対策の一つとして"木材利用の推進"を掲げており、この中で地域材を活用した展示住宅の整備等による木造住宅の振興や、ツーバイフォー住宅の部材開発などを計画。他には太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの全量買取制度の導入も検討するとしている。

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2009年12月15日号から

ソーラーデカスロン第3位 カリフォルニアチーム

太陽の家は美しく、そして広く

 カリフォルニアチームはサンタクララ大学と名門・カリフォルニア美術大学の合同チーム。
 10項目の総合力で争うソーラーデカスロン(十種競技)で、ほとんどの項目でベスト3にランクイン、中でも建築など2項目で1位、エンジニアリングでは2位を獲得している。美しく、斬新な曲がり屋のデザイン、室内と屋外が融合した空間を作りあげた。

20091215_02_01.jpg概  要

 美しさは全体の設計と窓の使い方から来ている。南に向いたデザインは南面を最大にするほか大きく見せる効果もある。中庭は建物に取り込まれたように見えるからだ。
 「夏はドアを開いたままにできるので、約74m2にすぎない家は中庭とリヤデッキをリビングの一部に取り込み、ずっと大きく使えます」と、サンタクララ大学のチームリーダーのひとりは語る。
 曲がり屋はカリフォルニアのよく晴れた気候に最適。南向きのパッシブソーラー設計によって、実際には暖房は不要になり、最先端の太陽熱吸収チラーが冷房パネルによって冷房を行う(床暖房・天井冷房)。チラーからの排熱は太陽熱給湯システムの予熱として使う。屋根はもちろん太陽光発電パネル。

技術と特徴

・モニターシステム。携帯電話・アイフォンのソフトで動き、住宅の性能を表示し、温度と照明をどこにいても制御できる。
・雑排水の貯水池。この水で庭の地味を豊かにする。
・パッシブソーラー技術。これにより暖房熱を不要にしている。
・超高断熱窓。取り入れた技術はLow―Eガラス、ヒートミラーフィルム、クリプトン・アルゴンガス空気層。
・太陽熱吸収チラー。端末は冷風吹き出しではなく輻射型冷房。
・太陽熱給湯システム。チラーから排出される熱も予熱として利用する。
・8・1kWの太陽光発電パネル。
・中庭を家に取り込む曲がった長方形デザイン。
・室内を広く使う組み込み家具。

暖冷房技術

 快適な空間を最小限のエネルギーによって実現するための技術として、暖冷房は換気とエネルギー回収システムと連動し、効率を高める。制御系はデジタルで、住宅内だけでなく地域のエネルギー需要に対応したインテリジェントシステムとなっている。
 窓とブラインドは最も効率的に動くように自動制御されているが、もちろん手動もできる。給湯は高効率のヒートポンプを装備。
 特徴的なのは、スマートグリッドと呼ばれる技術に対応すること。例えば暖冷房と給湯は需要ピークをずらすなどの制御を行う。
 暖冷房システムはバッファタンクを持っており、これが夏は冷房・冬は暖房に使われる。バッファがあることで、ヒートポンプの運転時期を一日のうちで最も効率がよい時間帯に運転したり、電気料金が安いとき、または地域の電力網が安定する時間帯に運転することができる。バッファを持つことでいろいろな意味でピークシフトが可能になる。
(翻訳:本紙編集部)
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2009年12月15日号から

ドイツの省エネ政策

 NPO外断熱推進会議北海道支部では、去る11月27日、パッシブハウスコンサルタントであるクーラー・アンドレア氏を講師に招き、札幌市内で「エネルギーパスとパッシブハウス」をテーマとしたセミナーを開催。ヨーロッパで導入・義務化が進んでいるエネルギーパス制度と、ドイツ発祥のパッシブハウスについて紹介した。

エネルギーパス 燃費表示を義務化

20091215_03_01.jpg クーラー氏はエネルギーパスについて「建物に必要なエネルギー量に関する情報を表示したもの。2003年1月にEUが施行した『建築物のエネルギー性能改善に関わる欧州指令(EPBD)』をきっかけに、EU全27カ国で制度化が進められ、ドイツでは昨年7月から義務化された。ドイツエネルギー庁の認定を受けた省エネコンサルタントが建物の調査を行い、1年間で必要なエネルギー量などを誰でもわかるように図で示した4枚つづりの書類で発行する。さらに窓を性能の高い製品に交換すればどのくらい省エネ効果があるかなど、経済効果の高い省エネ改修向けのアドバイスを記載した書類も添付する」と説明。
 エネルギーパス導入後の効果については「ユーザーが建物の省エネ性を大ざっぱに判断できるのがメリット。特に既存の建物の省エネ改修は地球温暖化防止に一番効果があるので、省エネ改修向けのアドバイスは、例えば外壁の再塗装で足場をかけるついでに断熱材の補強や窓の交換なども一緒に行うなど、費用対効果の高い改修を普及させるきっかけになる」と話した。

パッシブハウス 無暖房に迫る断熱

20091215_03_02.jpg パッシブハウスについては「快適・健康・高品質を兼ね備えた経済性の高い省エネ住宅で、1.必要となる年間暖冷房エネルギー量が15kWh/m2 2.気密性能が50Pa時の換気回数で0・6回/時(相当隙間面積で0・2cm2/m2程度) 3.年間一次エネルギー消費量が120kWh/m2というこれまでの基準に、今春から 4.暖房負荷が10W/m2以下 5.夏期の室温が25℃プラス10%以内という2つの基準が追加された。ドイツのパッシブハウス研究所とその認定機関が認定を行っている」と紹介。
 また、「世界にはキャスビーやリードという住宅基準もあるが、それらの基準はサステナビリティを評価するのに対し、パッシブハウスでは省エネ性を評価する。いろんな建物・工法で建設可能だが、高断熱・高気密・熱交換換気・高性能開口部・熱橋対策が重要な要素となっており、特に断熱・気密層の連続や熱橋は厳密にチェックされる。

20091215_03_03.jpg このような省エネ住宅を設計する際の優先順位は、1番目に断熱性能の向上、2番目に効率のよい設備の導入、3番目に新エネルギーの導入の検討となる。断熱性能が低い建物にいくら効率がよい設備や新エネ機器を付けても効果は薄いからだ」と、高断熱化を図ったうえで高効率設備や新エネ設備を導入することの必要性を強調した。
 このほか、日本でのパッシブハウス普及に関しては「普及には経済性が不可欠だが、日本でも快適な暮らしに対するユーザーの要求が増えていること、長期優良住宅など耐久性に優れた住宅がテーマとなりつつあること、住宅でのエネルギー消費量が増え続けていること、省エネ設備機器の開発に対して高い開発力を持つ日本メーカーの技術貢献が期待できることなどを考えると、日本でもパッシブハウスを建設する意義は十分ある」と述べた。


2009年12月05日号から

紹介受注にチカラ入れてます? 18社に聞きました

 昔から受注のきっかけとして重要視されているのがOB客などからの紹介。特に新築市場が冷え込んでいる中では、紹介受注を積極的に増やすことも必要になってくる。そこで住宅会社18社への調査をもとに、紹介を営業戦略の柱に据えている住宅会社はどのくらいあるのか、紹介してくれたOB客への報酬・謝礼はどうするのかなど、なかなか知る機会がない紹介受注の実態をまとめた。

 今回調査した住宅会社18社のうち、紹介を重要な営業戦略として位置づけていたのは5社。
 例えば札幌A社は「会社の内部規定として謝礼制度を作り、紹介客と契約になった場合、OB客には商品券を渡している。名前と連絡先だけ紹介するやり方もOK。さらに紹介客にも値引きか家具のプレゼントといった特典がある」と言う。
 同じく札幌B社は「ここ15年ほど、定期点検などでOB客を訪問するたびに『現在紹介キャンペーン中なので、どなたか新築やリフォームを考えている方がいらっしゃったら、紹介してもらえますか。成約になったらお礼に受注金額に応じて商品券を差し上げます』と案内している」と話す。
 また、道央C社は「大手ハウスメーカーがフリーの営業マンを雇うのと同じように、OB客と紹介営業の委託契約を結び、『報酬は受注金額の○%』と取り決めしている」と、ビジネスとしての紹介営業を全面に打ち出している。

つづきは見本紙をご請求ください。
https://www.iesu.co.jp/inquiry/


2009年12月05日号から

エコキュートで容積率緩和 札幌市

20091205_02_01.jpg 札幌市では、自然冷媒ヒートポンプのエコキュートなど、省エネ・環境負荷低減設備機器を室内に設置する場合、一定条件を満たせば床面積1m2まで容積率を割増しできる措置の適用を開始。近々エコキュートを採用し適用第1号となる(株)じょうてつの分譲マンションが着工する。

 今回の容積率緩和措置は、建築基準法第52条第14項1号「機械室に類する部分の床面積が著しく大きい建築物で、特定行政庁が許可したものの容積率はその限度を超えることができる」という規定を運用したもの。1.室内の設置スペースを壁等で囲う 2.設置スペースと建物のエントランスなどに容積率緩和対象物件と明示 3.契約書等に容積率緩和対象物件であることと、設置スペースを他の用途に転用できないことを明示―などが条件で、市との事前協議を経て許可申請を提出し、建築審査会の審査を通れば適用可能となる。
 対象物件は戸建住宅なども含めたすべての建築物で、エコキュートのほか太陽光発電や燃料電池なども適用対象。ただ、許可申請料に16万円かかり、建築審査会の審査も2~3ヵ月かかるため、「戸建住宅での適用は現実的ではない」(札幌市建築指導部)という。
 建築基準法第52条第14項1号については、平成14年に国が省エネ関連機器の設置に適用できるという技術的助言を各自治体に通知。これを機に、今年3月末まで全国で大都市圏を中心に90件以上の適用実績が出ている。
 札幌市では地球温暖化など環境問題への対応として、機器の寒冷地対応や本州での事例などを検証した結果、札幌でも適用可能と判断。じょうてつのエコキュート採用分譲マンションもきっかけとなり、札幌市は今年9月から運用を開始した。

 緩和措置の適用第1号となったじょうてつの分譲マンションは、札幌市北区に建設する全43戸のオール電化マンション「じょうてつアイム北29条」(仮称)で、給湯にエコキュートを採用するほか、リビングの暖冷房としてヒートポンプエアコンを導入する。2011年3月に竣工予定で、暖冷房・給湯ともにヒートポンプ機器を採用したオール電化マンションは道内初。
 同社では環境配慮型のマンションを企画・開発する中でエコキュートの採用を検討。北海道電力(株)やメーカーの協力により、事前に寒冷地で使用するにあたっての疑問点などが解消されたほか、容積率の緩和で1戸あたりの専有面積が1m2増える分だけ販売面積も増加するため、設備のコストアップ分も吸収できると見込んで採用を決めた。
 同社不動産事業部都市開発部では「エコキュートには以前から着目しており、容積率の緩和についても、今後の採用を進めるうえで、まず実績を1棟作ろうと考え札幌市に適用許可を申請した。エコキュートは戸建てで普及が先行しているが、分譲マンションでも考えていきたい」と話す。

 なお、エコキュートに関しては、道内での導入台数が今年10月末現在で2088台。北海道電力でも電気料金とCO2排出量がともに電気温水器の2分の1になるなど省エネ性・環境性の高さをアピールして普及に力を入れており、札幌市の容積率緩和措置運用開始を機に、分譲マンションでの普及によりいっそう力を入れていく考え。
 同社営業部住宅電化グループでは「去年、今年とエコキュートの寒冷地対応が進み、メーカーも道内での販売に力を入れてきている。環境の時代にマッチした設備機器として、給湯も暖冷房もヒートポンプを積極的に提案していきたい」と話している。


2009年12月05日号から

ソーラーデカスロン 第2位 イリノイ大学

「古い」が「新しい」。 伝統的三角屋根にソーラー

20091205_03_01.jpg イリノイ大学はシカゴの南約200kmの地にあるアーバナ市とシャンペーン市にまたがる全米トップクラスの大学。
 チームは、最高・最新の省エネ技術は未来形ではなく、現在も建つ普通の家と同じであると考え、取り組みを開始した。
 2位となった三角屋根の家は、必要エネルギーの最大4倍を生産するが、外観は伝統的なアメリカ中西部の農家と変わらない。外壁は築100年の納屋からはがした外装羽目板、屋根は南面のみ高効率のソーラーパネルという組み合わせ。室内は最新の構造用竹材を採用、最適化された窓と断熱によって暖房はヘアードライヤー1台分のエネルギーしか消費しない。
 チームは屋根全面にソーラーパネルを張るフラット屋根を選ばなかった。というのも、三角屋根の南面だけで必要な電力を十分供給することができることを証明したかったからだという。
 投入された技術は次の通り。

1 30cmのウレタン系断熱材を床・壁・天井に吹きつけ。
2 竹の集成材による門型の構造体。これは木材より強度が高く、資源の再生も早い。
3 高効率の空調型暖房と換気は小さな負荷のために最適化制御。
4 暖房・換気・空調とシステム化した温水熱交換機。
5 LED照明。
6 9・1kWの太陽光発電パネル。

 イリノイチームは、実際に住宅産業が手ごろな価格で実現できる技術を目標としてきた。坪単価が最安でなかったとしても、長期的に見た場合の省エネ性とコストの安さ、そして長期信頼性を追求し続ける。そしてこういった特徴は、狙ったマーケットのニードと要望にマッチするはずだ。
 ターゲットは、アメリカ中西部に暮らす子どものいない専門職の夫婦。世帯年収は8万ドル(およそ800万円)で土地持ち。サイオンの購入を検討するタイプの人たちに例えることができる(サイオンとはトヨタがアメリカで展開する自動車ブランドで、若者層をターゲットとしている)。彼らは自分たちをトレンドをつくるタイプと見ている。
 品質やコスト、デザイン、サスティナビリティに関心があり、家については個性の表現であり、彼らの価値観を映し出す生活の一部分と見なす。モデルハウスは歴史と環境親和性をデザイン上で表現しながら、施主を想定して設計している。
トヨタ・サイオン http://www.scion.com/
(翻訳:本紙編集部)


2009年12月05日号から

◆新築住宅が寒い!?

◆新築住宅が寒い!?
札幌市 建材メーカー 所長
 知り合いが去年、新築住宅を購入したのですが「寒~い」と愚痴をこぼしていました。聞くと、浴室回りが非常に冷えるのだそうです。高断熱・高気密住宅ではあり得ないはずです。実際にその住宅に行ったことはないので断定はできませんが、断熱欠損などの問題があるかもしれません。折り込みチラシや雑誌広告を見ても、どの会社も高断熱・高気密であるかのように書いていますが、実際はそうではないんだな、とあらためて思いました。

◆長期優良住宅の住宅履歴は?
帯広市 建材販売店 課長
 長期優良住宅の住宅履歴は、どう保管するのがベストなのでしょうか。北方型住宅ECOは、自動的に道の仕組みを利用するので安心ですが、それ以外はどうでしょうか。民間の情報サービスで保管すると、プライバシーの保持やその会社が倒産する心配があります。建てた会社が責任もって保管すればいいのですが、建て主さんが別の会社でリフォームしても家歴書にその履歴が記録されるでしょうか? 補助金の話が先行してこうした運用面の情報が足りない気がします。

◆「お金をためてからやりましょう」
山形 工務店 女性幹部
 私は断熱改修を中心に仕事をしています。お客さまからの要望にこたえるというより、「こんな素晴らしいリフォームがあったんだ」と感動していただくことで仕事が続いています。いままではお客さまに喜んでいただくだけでしたが、数年前にわが家もリフォームし、祖母がすっかり元気になりました。もちろん予算とかの壁はあります。でもそういうときには、「2~3年してお金をためてからやりましょう」とお話ししています。


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