新聞記事

2009年11月15日号から

ソーラーデカスロン第1位 ドイツチーム

全身が発電機!! VIPや蓄熱材も投入

20091115_01_01.jpg ドイツチームはダルムシュタット工科大学の学生チームで、2007年の前回大会に次ぐ2連覇。
 チームの理念は可能な限りの新技術を取り入れて限界に挑戦すること。
 発電能力が最大になるよう設計された2階建ての箱形建築は、壁と屋根、そして窓の外に取り付けたルーバーにも太陽光発電セルで覆われている。その発電能力は11・1kW 屋根は40の単結晶シリコンパネル、外壁は250の薄膜型太陽電池パネル(CIGSと呼ばれる最高・最新の太陽電池という)が取り付けられ、必要エネルギーの2倍をつくり出すと試算される。
 CIGSパネルはシリコンパネルよりやや効率が下がるが、曇天時にも効率が上がるという。
 躯体は真空断熱材も使った超高断熱と、PCMと呼ばれる新しい蓄熱材を採用し、ルーバーによる日射遮へいも行って室内を快適な室温に保つ。
 太陽光発電は最も特徴的ではあるが、このほかにも以下のような注目すべき技術が投入されている。

▼ほかの新技術

1 真空断熱材のパネル
2 PCMと呼ばれる新しい蓄熱材。外壁はパラフィン系、天井は水和塩系
3 自動調整型の窓ルーバー
4 ヒートポンプ給湯・暖冷房システムボイラー

 構造は120mm角の軸組で、金物工法。
 断熱は50mmの真空断熱パネルを躯体の外側に設置。充てん断熱はセルロースという複合断熱。真空断熱パネルは日本でも建築用として試験的に使われており、単体の断熱性能は極めて高い。ただし釘で打ち抜いてしまうと普通の断熱材になってしまうなど、施工には気を使う。ドイツチームはパネル化によってその問題を解決する取り組みを行っている。
 PCM蓄熱材は日本でもいままさに試験採用が進む最先端の素材。
 窓ルーバーはセミ・アクティブ技術とも呼ぶべき手法として、今回ドイツチームでは位置づけている。冷房エネルギーを低減する基本機能に加え、ルーバーが発電パネルでもある。
 ヒートポンプはアクティブ技術として重要な位置づけになっている。
 言うまでもなく、躯体は高断熱・高気密化されている。さらに計画換気と熱回収を装備。空調はヒートポンプを採用し、ラジエータは使っていない。
 熱回収とヒートポンプの関係を図で示す。温水暖房を使わずにエアコン型を採用したのは、ドイツのパッシブハウス基準に沿ったほか、暖房負荷がとても小さいからだ。
 暖冷房の主装置はヒートポンプ。それに熱交換換気を組み合わせる。効率は80%。温水タンクは180。冷房時は排熱はタンクにためる。タンクにはヒーターが設置されている。
 なお、チームは建築系を中心とする24人の学生が、小所帯ながらさまざまな分野から協力を得ながらプロジェクトを推進した。
(翻訳:本紙編集部)
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