新聞記事

2009年10月05日号から

瑕疵保険時代の防水対策

 住宅瑕疵担保履行法によって、今月から引き渡す新築住宅を対象とした瑕疵保険への加入または保証金供託の義務化がスタートした。すでに多くの住宅会社が選択している瑕疵保険は、地盤や基礎、雨水の浸入防止について設計施工基準に適合することが必要となる。特に外壁・屋根回りの防水は事故が多い部分と言われているだけに、適切な工法・部材で施工しておきたい。そこで今回は瑕疵保険時代に対応する防水工法や防水部材にスポットを当てた。
 
瑕疵担保法のおさらい/今月から保険等義務化
 20091005_01_01.jpg住宅瑕疵担保履行法は、構造計算書の偽造事件、いわゆる姉歯事件をきっかけにできた法律。平成12年に施工された品確法で住宅会社に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられたが、瑕疵が見つかっても住宅会社が倒産していれば瑕疵担保責任が履行されないため、住宅所有者は経済的にも精神的にも大きなダメージを受けてしまう。
 そこで住宅瑕疵担保履行法では住宅会社が倒産した場合でも瑕疵の補修等が確実に行われるよう、今年10月1日以降に引き渡す住宅を対象に瑕疵保険への加入または保証金の供託を義務化。いずれも年2回の報告義務があり、違反業者には請負契約の禁止や罰金などの罰則が課される。
 瑕疵保険は1戸ごとに加入し、費用は掛け捨て。一方、保証金の供託は過去10年間の引き渡し戸数に応じた額を法務局に10年間預ける形になる。保証金の供託は最低でも2千万円は必要となるため、実際には瑕疵保険への加入を選ぶ住宅会社がほとんどだ。
 
(図...住宅瑕疵担保履行法で対象となる瑕疵担保責任の範囲。外壁と屋根の防水については特に事故が多い部分だけに、設計施工基準にのっとって適切に施工したい)
 
防水事故の保険金支払が目立つ
 瑕疵保険を扱う保険法人各社は、保険料の無事故割引や損害率に応じた割引などを行っているケースがあるので、瑕疵保険は使わずに済むのが一番いい。そのためには瑕疵保険の設計施工基準をよく理解し、適切な施工部材の選択・施工を行うことが重要だ。
 瑕疵保険の設計施工基準は、当初保険法人ごとに定めていたが、今年7月に国交省によって基準が統一された。これによって住宅会社は一つの仕様で6社の保険法人に対応できるようになった。また、一定の条件はあるものの、着工後・完成後の住宅でも保険加入が可能となっている。
 住宅瑕疵担保履行法で補償対象となるのは、品確法の瑕疵担保責任と同じく「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の2つだが、住宅保証機構が今年6月末までに扱っていた住宅保険・住宅性能保証制度の平成17年度保険金支払件数を見ると、外壁の防水部分が64%、屋根の防水部分が12%で、合わせて全体の4分の3が防水関連の不具合。道内は外壁と屋根の件数がほぼ同比率だという。
 
屋根の防水/フラットは1/50こう配
 20091005_01_02.jpg統一された基準で雨水の浸入防止に関する部分を見ると、木造住宅の屋根でフラットルーフ(陸屋根)を認めたのが大きなポイント。具体的には①50分の1以上のこう配を取ること②防水工法は金属板(鋼板)ふきやアスファルト防水など6種類の中から採用することを規定している。
 ただ、こう配については、使用する防水材のメーカーが50分の1未満のこう配も可能な施工基準を定めている場合、保険法人が適切と認めれば、その基準で施工できる。
 M型、いわゆるスノーダクトの無落雪屋根については、道内で住宅保証機構の瑕疵保険・まもりすまい保険を扱っている北海道建築指導センターが「基準外でも保険法人が特別に認めたものは保険適用を認める」という設計施工基準の第3条規定に基づき、独自に作成した無落雪(M型)屋根設計施工基準の保険適用を住宅保証機構に申請。同機構から認定され、道内限定で採用可能となっている。
 
(写真...統一された設計施工基準では屋根の仕様に陸屋根(フラットルーフ)が追加された。また、北海道は同基準の第3条規定の適用によってM型無落雪屋根(スノーダクト屋根)も採用可能となっている)


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