新聞記事

2009年09月15日号から

暖房設備容量の計算2 電気ボイラー・森永エンジニアリング

高性能住宅Q&A

 A...電気暖房が増えるにつれ、暖房設備容量を把握する必要が出てきました。背景には灯油暖房とは異なり、容量に応じて基本料金がかかるという点があります。つまり適切なヒーター容量の電気ボイラーを設置しなければ無駄な電気料金を支払うことになってしまいます。
 ここでは初歩的な暖房設備容量の設定方法をそれぞれ発売元に説明してもらいました。
 第2回は電気ボイラーについて森永エンジニアリング(株)に聞きました。電気ボイラーは北海道電力(株)が設定する融雪用電力(ホットタイム22ロング)を利用して暖房します。本州の方からの問い合わせも多いのですが、22時間暖房で、一般的には通電カットとなる2時間を15分ずつに断続してON/OFFすること、その時間帯は冬場の電力負荷のピーク時間帯とすることで電力料金が割安になる料金契約が前提になっています。
 
パネルの選定などは灯油と同じ
20090915_02_01.jpg まず、温水セントラル暖房を行うに当たり、灯油熱源も電気熱源も違いはありません。熱負荷計算に基づいて設計を行います。当然、放熱器の選定・枚数も同じです。
 融雪用電力の場合、1日2時間の通電カットになりますが、そのことはボイラー容量や放熱器選定に影響を与えません。それは、建物の蓄熱効果や内部取得熱、当然のことながら住宅の断熱性能の高さがあるからです。
 エルパンナはもともと最大9.6kWのヒーターが内蔵されていますが、建物の暖房計算結果から適切なヒーター容量に調整して出荷しています。
 現在、ボイラーの容量設定については、暖房負荷の7割から9割、平均で8割というチョイスが多いと思います。つまり、暖房負荷が5kWのとき、ボイラー容量は4kWが平均ということになります。
 このとき、当社はΔtを室温22℃で見ていますので、札幌では31(deg)となります。
 ただし、市街地では立地によって日射の期待ができなかったり、北斜面などのケースもあり、そういう場合は多少の安全率をかけていくことになります。
 暖房負荷に対して100%のボイラー容量が必要ない理由は、24時間連続暖房していることと、建物の蓄熱効果です。それが10%程度なのか、30%減らしていいのかは、ケースバイケースで一概に言えない場合が多いのです。
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 電気ボイラーの容量を設定するための裏付け資料としてコンピューターによる非定常シミュレーションで検証をおこなっています。室温は外気温の変化や日射にどのくらい影響されるか、またそのことがボイラーの容量設定にどういった影響を及ぼすかを見るためです。
 シミュレーションによると、例えば外気温の変化が急激であっても、その影響はなだらかになります。理由は建物に熱容量があるから。また日中の日射の影響は夜間も続くことがわかりました。
 ボイラー容量については、札幌の最近のように最低気温がマイナス12~13℃程度で、それも年に1~2日という条件では、暖房負荷の60~70%でよいことになります。

暖房負荷:熱損失係数×床面積×設定内外温度差(Δt)
 
 
(写真...森永エンジニアリングのパネルヒーターと電気ボイラー)


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