新聞記事

2009年07月05日号から

換気低下5つの課題7/まとめ

高性能住宅Q&A

20090705_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。今回は最終回・まとめです。
 住宅用セントラル換気導入の歴史を見ると、始まりは「結露の解消」だったようです。
 20数年前、当時は在来木造よりもはるかに気密性が高かったツーバイフォー住宅では、暖かいけれども冬場の結露は深刻でした。原因は断熱性の低いアルミサッシ、開放型のストーブ、換気不足といった複合だったのですが、セントラル換気を導入すると見事に結露が解消したといいます。
 その威力に感心して、セントラル換気の導入が徐々に始まります。しかし、住宅会社には「結露を防止するための技術」つまりデメリットを解消するいわば"負の技術"と見る意識が残っていて、それを加速させたのが換気設備設置の義務化(2003年)だったのではないでしょうか。
 一方で「換気は人と建物の健康を守るプラス技術」と考えている住宅会社も少なくありません。
 換気はエンドユーザーの指名商品ではなく、多くの場合は住宅会社側の標準仕様商品です。ですから住宅会社側が換気をどう見ているかによって設備選択が変わってくるように思います。
 今回、10年以上経った住宅の換気を取り上げたのは、「空気環境をどうするかは、住宅会社次第だ」というエンドユーザーの声なき声を紹介したかったからです。
 取り組み方はいろいろあると思います。ただ、10数年後を考えなければいけないのは、本当は換気メーカーではなく住宅会社である、ということなのです。取材を通じて感じた取り組み方法を紹介します。
 1.良いものを選ぶ:換気能力に不安がなく、耐久性についても定評のあるシステムを設置する。しかし、良いものは得てして安くはない。
 2.性能も価格も納得できるものを選ぶ:換気能力に不安がなく、掃除しやすさにも配慮し、価格も納得の範囲内。しかしこういう製品は得てして耐久性が犠牲になっている場合がある。それをフォローするのは住宅会社側の「仕事づくり」でもある(連載⑤に掲載)。
 3.法をクリアする最低限の設備:カタログに「最低限」とは書かれていなくても、換気性能より手軽さと価格を最優先した商品も市場に出ている。発売元の資料に沿ってひと通りの説明をすると同時に、交換時期にフォローする。
 換気は住宅会社が選ぶ機能重視の設備です。場合によっては住み手の健康障害を引き起こすことがある一方、換気不良でもクレームにならないケースも多いでしょう。換気が問題になるのは、やはり結露という現象が現れたときかもしれません。(終)
 
(図...換気システムは人の呼吸と同じ)


連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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