規則改正の背景
なぜこのような規則改正が行われたのか。過去の足場墜落死亡事故を分析すると、全体の3割強が法律を遵守していた。わく組足場で交さ筋かいのすき間から墜落したケース、それ以外の足場で手すりの下から墜落したケースなどが含まれる。そこから今回の改正内容が考えられた。
それでは、木造建築工事現場で使われる一側足場が除外されたのはなぜだろうか? 中高層建築や造船所、大型建築物の足場は数十m以上の高さとなるため危険性が高い。それに対し木造建築は大半が高さ10m以下のため相対的に危険性が低い。また現場の数が膨大なため「そこまで規制をかけるのはどうか」という意見もあったという。しかし、コスト削減のために一側足場の現場が増える可能性も否定できない。
実際、道内の木造建築現場でも毎年死亡事故が発生している。今年も今月5日に札幌市内のアパート建設現場で作業者が釘箱を運ぼうとした時に足場階段から転落し、死亡事故が発生した。低層だから安全とは言えない。
北海道労働局では昨年6月、木造家屋建築工事を行っている107の現場で一斉パトロールを実施し、安全な作業床の確保や安全ネットの設置状況などを点検し、その結果改善指導を行った現場が約3分の2にあたる71現場もあり、これは平成19年とほぼ同じ割合の結果だ。このうちパトロールした現場の約半数、52現場で足場にかかわる指摘があった。躯体との間の墜落防止の手すりが未設置、安全ネットなどの設置が不適切、足場外側の墜落防止手すりや柵などの設置が不適切な現場が多数あった。
瑕疵担保保険の検査と違い、安全パトロールはごく一部の現場でしか行われないが、安全対策を軽視して死亡事故が発生すれば、多大な悪影響が出る。これを機会に、安全対策の見直しを行い、これ以上死亡事故が起きないことを望みたい。
新聞記事
2009年06月15日号から
足場に新たな規制3
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