新聞記事

2009年04月25日号から

換気低下5つの課題3/数年後も風量維持

高性能住宅Q&A

 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、2回目の前回は落ちた換気量は回復するのかをまとめました。
 今回は、換気量が落ちていいのかどうかという点から。ダメだというのは正しい答えですが、住み手に健康問題がなければいいのか、それともそうではないのか。
 換気量が落ちていいかどうか、という議論の前に、住み手のなかには換気の運転スイッチを止めてしまい、その状態で生活して特に不自由を感じていない実態が一部にあります。室内空気の汚染は人の健康にとって大きな問題ですが、一方で多くの人にとっては特に問題がないことも事実です。
 思い出してください。シックハウスが問題になったとき、体調が悪化するのは気のせいだとか、家とは関係ないとかいう意見もありました。それは、個人差なく健康被害が出る中毒症とは違い、同じ空気を吸っても体調が崩れる人もいれば平気な人もいて、むしろ平気な人のほうが多いからです(もちろん将来のことはわかりませんが)。
 
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(図...換気回数の相違によるホルムアルデヒド濃度(出典:第8回北海道住宅新聞 寒地住宅学校テキスト集から北見工大坂本弘志教授(当時)の講演資料)改正建築基準法施行前の測定だが、換気量が変わると空気汚染物質がどのくらい増減するかがよくわかる) 
 
 法律はどうなっているでしょうか。
 建築基準法では機械換気の設置を義務化しており、換気回数は一般には0.5回/h以上です。[何年間、この換気量を維持しろ]と書かれてはいませんが、[そのうち換気量を減らしてもいい]とも書かれていません。つまり建築後について何も書かれていないのです。
 法律の趣旨はシックハウスを防ぐことであり、その目安は厚生労働省が示している指針値ですから、ホルムアルデヒドが安定して0.08ppmを下回るなら、換気は多少減っていいとも言えます。多少というのは、建材から放散されるホルムアルデヒドなどは収まっても、人がいることで発生する炭酸ガスなどや、カビ・ダニの問題もあるからです。
 ㈲北欧住宅研究所・川本清司所長は「換気回数が0.4回/hになると、夫婦2人の寝室などでは炭酸ガス濃度が1000ppmを超えかねない。1000ppmを超えるとあまりよくないのは自分の経験からも言える。ひと1人に必要な空気は、動いているときに30m3/h、静止しているときに20m3/hというのはじつに正しい」としています。
 『換気はシックハウス対策のためだけにおこなうのではない』
 このことをいま一度、思い出す必要がありそうです。ただしホンネベースでは、数年たったら多少減らしてもいいという面もあります。

連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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