新聞記事

2009年04月25日号から

住宅Q値計算/北方型の不利解消

20090425_04_01.jpg 道は、北方型住宅のQ値(熱損失係数)計算で基礎断熱した床下や屋根断熱した小屋裏も床面積に算入できることを、今年改訂した北方型住宅技術解説書に明示。これにより、基礎断熱・屋根断熱を行った住宅では、Q値が計算上不利になってしまうという現象が解消されそうだ。ただ、これは北方型住宅の認定に限ってのことで、住宅性能表示制度の性能評価を用いた長期優良住宅の技術審査などでは適用にならないことに注意する必要がある。
 Q値計算は各部位の熱損失係数の合計(総熱損失係数)を実質床面積で割って算出するが、そうすると屋根断熱や基礎断熱によって気積の大きい住宅ほどQ値が大きくなる。昨年の北方型住宅ECOでは、基礎断熱した床下空間の床面積算入を巡って住宅会社の混乱を招く原因にもなっていた。
 そこで道では道立北方建築総合研究所を通じて昨年11月に基礎断熱した床下と屋根断熱した小屋裏も含めた気積を2.6で割った数値をQ値計算の床面積とする考え方を北海道建築指導センターに示し、北方型住宅の認定にあたってはこの計算方法を使うことができるようになった。
 
(図...基礎断熱・屋根断熱で、床下と小屋裏を床面積に算入しない長期優良住宅(住宅性能表示制度)ではQ値が1.47W程度になるが、床下と小屋裏を床面積に算入できる北方型住宅では1.2Wを軽く切る)
 
換気経路に入ることなどが条件
 今年改訂した北方型住宅技術解説書では、基礎断熱や屋根断熱を採用した住宅で、①床下空間・小屋裏空間が換気経路に入っている②床下空間に放熱器が設置されていて床ガラリなどを通じ居室と空気を循環させている③不規則な吹抜けがあるのいずれかに該当する場合で、床下や小屋裏への出入り口や改め口があれば、それぞれの空間の気積を2.6で割った数値を建築基準法上の床面積に加えることができるとしている。
 
長期優良住宅の認定では適用外
 ただ、国の省エネ基準では、Q値計算で床下空間や小屋裏空間が換気経路になった場合の扱いが示されていないことなどから、住宅性能表示制度の省エネルギー等級の判定で、この計算方法は使えない。そのため、今年6月4日から認定申請が始まる長期優良住宅でも、総熱損失係数を建築基準法上の床面積で割った数値がQ値となる。
 このように北方型住宅と国の性能表示制度でQ値計算の床面積算出方法が異なることに、「このままでは2つのQ値が存在することになり、混乱するばかりだ。どうして一本化できないのか」という声が住宅会社からあがっている。
 道建設部建築指導課では「吹抜けや基礎断熱、屋根断熱などで気積が大きくなった時、Q値が不利になるのを解消するために、北方型住宅は気積を2.6で割った床面積の考え方で統一する。現時点で具体的な話はまだまとまっていないが、国に対してもこの床面積算出方法を認めてもらうための働きかけをしていく」と話している。
 
北方型住宅技術解説書ダウンロード先:http://www.kita-sumai.com/?page_id=7


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