新聞記事

2009年04月15日号から

換気低下5つの課題2/掃除で換気量回復

高性能住宅Q&A

20090415_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。前回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するかをまとめました。
 それによると、禁煙4人家族で1年に10~13%、2年で15~18%低下するというのが(有)北欧住宅研究所・川本清司所長の所見でした。
 では落ちた換気量は回復するのか。
 東北大学の吉野博教授を中心とする研究グループは、換気システムの清掃前と後でどのくらい換気量が違うかを測定し、発表しています。
 それによると、熱交換換気、第三種換気、個別換気の12戸の住宅のうち、7戸が掃除によって風量が回復しました。このほか3戸は風量が変わりませんでしたが、そのうち1戸は定期的に掃除していた、1戸はダクト設計に問題があり掃除では回復しそうにない、1戸は外排気フードに問題がありそう―という結果で、掃除によっておおむね換気量は回復すると言えそうです。
 前出川本氏は竣工時の換気量がわかっている第三種換気について、ファン本体、給気レジスターのフィルター、排気グリル、場合によっては外排気フード、そしてダクトは排気グリルから最初の曲がりまで手を突っ込んでゴミをかき出すことで、換気量はほぼ竣工時と同じまで回復すると言います。
 ただし、ダクトについては要注意です。
 まず、ダクト径が小さいと汚れの付着による換気量低下への影響が大きくなります。川本氏は「できれば100ミリφを」と主張しています。
 もう1点は、ダクト掃除を行うときの注意点です。第三種換気の場合は排気グリルから最初の曲がりまで手を突っ込んで掃除することでいいようですが、第一種換気の給気側はそうもいかない場合があるでしょう。
 北海学園大学の佐々木博明教授を中心とする研究グループは「住宅用換気システムのメンテナンスの研究」と題する一連の研究の中で、フレキダクトは突起部に付着したゴミが成長するため、管の内面が平滑なスパイラル管の普及が望まれるとしています。
 施工性と同時に掃除のことも考えると、配管径はできるだけ太くした上でしっかりとした施工により結束部分の脱落などがないようにし、手を突っ込んで掃除することを事前に想定しておくことがベターと言えそうです。
 
(写真...竣工後およそ3年を経過した住宅のスパイラルダクト内の汚れ。すぐの90度曲がりにフリース状のゴミがついているが、部分的には管材の内表面も見える。スパイラル管は汚れがつきにくい)

連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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