新聞記事

2009年03月15日号から

暖房・給湯機など点検義務化/改正消安法4月施行

20090315_1_1.jpg経年劣化による設備機器の事故を防止するため、石油給湯機やガス瞬間湯沸器などの設備機器や家電製品を対象に、標準的な使用期間(寿命)の設定・表示や、点検時期の通知と点検の実施、既存製品も含む保守サポート体制の整備などを製造・輸入メーカーに義務付けた「長期使用製品安全点検制度」と「長期使用製品安全表示制度」が4月1日から施行される。住宅会社や不動産業者も物件引渡時にオーナーへの説明義務などが課されるが、同時にリフォームの提案などにつなげるきっかけにもなりそうだ。
  
住宅会社にも責任
 「長期使用製品安全点検制度」(以下、点検制度)と「長期使用製品安全表示制度」(以下、表示制度)は、いずれも平成19年11月に改正された消費生活用製品安全法によって創設されたもの。
 点検制度は経年変化によって特に重大な危害を及ぼす可能性が高いとされる設備機器7製品9品目を対象に、標準使用期間および点検時期の表示と点検の通知・実施、施行日以前の製品も対象とした保守サポート体制の整備などをメーカーに義務付けた。7製品9品目は1.屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用・LPガス用)2.屋内式ガスふろがま(同)3.石油給湯機 4.石油ふろがま 5.密閉燃焼式(FF式)石油温風暖房機⑥ビルトイン式電気食器洗浄機⑦浴室用電気乾燥機。
 ここで言う標準使用期間とは、普通に使っていて安全上問題なく使うことができる期間を指し、点検時期はこの期間の終了時期をはさみ、1年から3年程度の期間が想定されている。簡単に言えば安全に使える期間が終わる前後に点検を受けなさいということ。点検については開始前6ヵ月以内にメーカーから点検の必要性や点検料金、連絡先を記載した通知がオーナーに送られてくる。
 また、住宅会社や不動産業者、製品販売業者も、点検や製品登録はがき(所有者票)記載の法定説明事項などについて、オーナーに説明しなければならない。違反すれば勧告や社名の公表が行われることもある。さらにオーナーの要望によっては、代わりに登録情報をメーカーに提供することになる。
 一方、表示制度では、製造・輸入メーカーに対し経年劣化による事故件数が多い5製品を対象として、標準使用期間と経年劣化に関する注意事項などの表示を製品に義務付けた。5品目は①扇風機②エアコン③換気扇④洗濯機⑤ブラウン管テレビとなっている。こちらの制度は住宅会社等が関わることはない。
 
使用期間は8~10年
 対象製品を製造・販売するメーカーも目前に迫った法施行を前に対応を急いでいる。特に標準使用期間を何年に設定するかどうかは住宅会社にとっても大いに気になるところだ。
 サンポット(株)は今月、全道主要都市で販売店・販売代理店説明会を開催。標準使用期間は石油温風暖房機8年、石油給湯器10年とする予定。ガス器具のリンナイ(株)も毎年2~3月に行っている販売代理店向けの方針発表会で周知を図っており、ガス瞬間湯沸器やガスバーナー付き風呂釜は標準使用期間が10年になるという。
 一方、キッチンなど水回りメーカーを見ると、トステム(株)は住宅会社を回り、周知徹底を図っているとのこと。TOTO(株)は販売特約店向けの説明会をすでに開催済みで、ショールームでは住宅会社やユーザーにも説明を実施。浴室電気乾燥機の標準使用期間は10年としている。
 こうしてみるとメーカー各社はまず先に販売店・販売代理店向けに説明会を行うところが多いようで、住宅会社向けはその後という雰囲気。標準使用期間は各メーカーが決定することになっているが、各社の動きを見る限り概ね8年から10年が一つの目安となりそうだ。
 
リフォーム提案も
  この2つの制度のうち、点検制度は住宅会社も説明や情報提供について責任を負うだけに制度内容をしっかり理解しておくことが必要。
 暖房給湯調理機器の主要メーカーや関連部品の製造・販売会社などで構成する日本石油ガス機器工業会が、先月下旬に札幌で説明会を行ったところ、200名以上の申し込みがあったが、住宅会社はほとんどいなかったそうで、まだまだ住宅会社の関心は低いのが現状だ。
 新築時に限らず、リフォーム時も対象となるし、設備工事業者・修理業者も住宅会社と同様に点検やオーナー情報の登録・変更の必要性を説明する努力義務が課されるため、住宅会社としては自社の協力業者に対しても制度の周知・浸透を図ることが大切だ。
 一方で住宅会社としては設置した設備機器の標準使用期間を把握しておくことにより、メーカーとは別にオーナーへ安全に使える期間が終わりに近づいてきたことを連絡し、設備の更新を含めたリフォームのきっかけにするということも考えられる。
 なお、3月末までに製造・販売された設備機器は標準使用期間や点検時期の設定義務はないものの、メーカーが整備しなければならない保守サポート体制ではそれらの設備機器も対象としなければならない。OB客にこの制度を知らせる案内を出したり、これまでの施工物件で使用した設備機器について点検の案内を出すなど、アフターサービスの充実を図ることも可能になる。
 なお、これらの制度について詳しくは経済産業省商務流通グループ製品安全課(Tel.03・3501・4707)または各地域経済産業局産業部消費経済課製品安全室(北海道Tel.011・709・1792、東北Tel.022・215・9887)などへ。

経済産業省ホームページ http://www.meti.go.jp/
 
(写真...経済産業省が配布している点検制度の告知リーフレット。対象製品や登録・点検などについてわかりやすく記載されている)


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