NPOパッシブシステム研究会(中野隆二理事長、(有)フォルムデザイン社長)では、今月10日に札幌市内で研修会と懇親会を兼ねた新年会を開催。昨年建設した外壁315ミリ断熱の実証住宅とアースチューブを採用したRC造のペンションの室内環境実測結果、リフォームによる超高断熱住宅の可能性などについて報告が行われた。
研修会では、始めに札幌市手稲区で(株)テーエム企画が建設した外壁315ミリ断熱の同会実証住宅と、後志・余市町でフォルムデザイン設計により建設された外断熱・RC造ペンションの性能測定の経過を、北海道大学大学院工学研究科の羽山広文准教授と菊田弘輝助教が報告。
このうち実証住宅は菊田助教が「外壁315ミリ断熱という超高断熱住宅なので夏期のオーバーヒート対策が課題の一つだったが、8月の一番暑かった時期の室温の上昇は、外気温の上昇より2時間程度遅れており、これは断熱性能の高さと150ミリ厚の土間などの熱容量の大きさが効いていると考えられる」などと夏期の室内環境効果を中心に説明を行った。
(写真...大勢の会員が参加した研修会の様子)
満足度高い全面改修
この後は、「リフォームによるQ1住宅の可能性」をテーマにはるす工房主宰の高杉昇氏が講演。高杉氏は「住宅の軸組と基礎だけ残し、新たに断熱・気密化を行ってリフォームする場合、解体は35坪程度で14~15人工かかるが、構造体の加工工賃がかからず、税金も不動産取得税が不要で、固定資産税は多少増えるものの新築ほどはかからないというメリットがある。そう考えると古い住宅を壊して建て替えるより、手間をかけても全面リフォームしたほうがいい。特にQ値1.0~1.3Wレベルになると、圧倒的な室内環境の変化を感じてもらえるので、ユーザーの満足度は非常に高い」と、断熱・気密改修も含めた大規模リフォームのメリットを紹介。
(写真...札幌市手稲区にある315ミリ断熱とハイブリッド換気を採用した実証棟外観)
リフォームの北方型開始へ
最後に道立北方建築総合研究所居住科学部の福島明部長が「これからの北方型住宅」について講演し、「北方型住宅は、北方型ECO以外の登録業者が少ないが、間もなくリフォームによる北方型住宅の登録も始まる。新築と同じ基準で一部試験運用を開始しているが、各地域の工務店が生き残っていくために、ぜひ取り組んでもらいたい」と、北方型住宅の新たな動きを紹介した。
研修会終了後に懇親会が行われ、参加した会員各社は親睦を深め、今年の健闘を誓いあっていた。
新聞記事
2009年02月25日号から
超高断熱は夏も有効/パッシブシステム研究会
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