新聞記事

2009年01月25日号から

検査済証が未交付、融資受けられない現場も

20090125_2_1.jpg (株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)ら5社が防耐火認定を取得した仕様とは異なる仕様の樹脂サッシを製造・販売、あるいは認定仕様と異なる試験体で認定を取得するなどの不正を行っていたことが今月8日明らかになり、認定を取り消される事態となった。不正は、最も古い製品では平成8年まで遡るという。
 防耐火認定を取り消された樹脂サッシを採用した住宅の現場がどうなるのか、まとめてみると、1.建築中の現場の場合、完了検査は通らない、2.場合によっては外壁や内壁を剥がしてでも交換作業を行う、3.費用は仮住まい費も含め全額メーカー側が負担、4.具体的対応内容については、現在メーカーとユーザーの間で交渉中、となる。改修に伴う費用などは各メーカーではこれから算定するとしており、業績への影響は計り知れない。
 問題の樹脂サッシは、戸建住宅では準防火地域に用いられるもので、ガラスは網入り、枠内に防火用の遮炎材などを補強して通常商品よりも防耐火性能をアップさせている。認定試験を受ける際に、遮炎材を増強するなど認定仕様と異なる不正を行い、さらに販売時に認定仕様と異なる仕様で販売した製品もある。
 道内戸建住宅では、エクセルシャノン、三協立山アルミが既に各サブユーザーへ訪問してお詫びと事後対応の相談を行っているが、道内はユーザー数が多いために対応に時間がかかりそうだ。道内ハウスメーカーでは、(株)土屋ホールディングスなど3社がホームページ上でエンドユーザー向けに告知を行っている。
 怒りがおさまらないのは当該サッシを採用し完了検査直前だった現場の担当者。「完了検査が下りないだけでなく、銀行も融資が実行できないと断ってきた。引き渡し日も延期となり、結局お客さまから怒られるのは我々だ。何の落ち度もないのになぜこんな目に遭うのか」と話す。
 別の住宅会社では、「完了検査の担当者からは、『御社には何の落ち度もないのにたいへんお気の毒ですが』と言って完了検査が通らないことを通知された。無償改修といっても、引渡日が大幅に伸ばせないお客さまの物件なので、どうしたらいいのか」と困惑を隠せない。
 
(写真...防耐火認定を取得した樹脂サッシのガラスは、すべて網入り(三協立山アルミのカタログから))

緊急の対応策
20090125_2_2.jpg 緊急の対応として、外付けの防火シャッターを付けて完了検査をクリアし融資実行ができる体制をまず作り、その後についてはメーカーと住宅会社でじっくり話しあうという案も浮上している。
 エクセルシャノンの親会社、(株)トクヤマの広報は「無償改修とは、改修工事の間仮住まいが必要ならばその費用も含めて負担するという意味ととらえている」と話している。これまで樹脂サッシ普及のトップリーダーとして市場をけん引してきた会社を含めたおよそ8万窓に及ぶ不正だけに、その衝撃は大きい。
 
(写真...防火試験で『スペシャル仕様』の試験体が使われたことが発覚した(エクセルシャノンのカタログから))


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