新聞記事

2008年11月25日号から

北方型ECOのQ値 矛盾を修正

計算方法を明確化

断熱区画内の空間は室内扱い
 北方型住宅ECOモデルの熱損失係数=Q値計算で使用する床面積は、実質床面積だけでなく、基礎断熱した床下など断熱区画された空間を含めた気積を2.6で割った相当床面積も認められる。これにより屋根断熱・基礎断熱の住宅のQ値が不利になると言われる点が解消されそうだ。去る16日に札幌市内で行われたNPOパッシブシステム研究会(中野隆二理事長、(有)フォルムデザイン社長)の講習会で、はるす工房主宰の高杉昇氏が明らかにした。北海道建設部建築指導課から今月中には正式発表される見込みで、それにあわせて北方型住宅のマニュアルも改定される。
  Q値計算は各部位の熱損失係数の合計(総熱損失係数)を実質床面積で割って算出するが、屋根断熱や基礎断熱によって気積の大きい住宅ほど不利になるため、北方型住宅ECOでは建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の気密測定マニュアルにも記載されているように、住宅全体の気積を2.6で割って算出した相当床面積をQ値計算に使うのが適当ではないかという声が出ていた。
 ところで、実際に北方型住宅ECOを建設している住宅会社の中には、性能評価や基本性能確認を行う北海道建築指導センターで1棟目の申請は問題なく下りたが、2棟目はQ値が基準に達しないとして認められなかったという事態も発生しており、混乱を招いていた。

気積÷2.6で床面積算出可能
 これを受けて道ではQ値計算における床面積の扱いについて検討。このほど、断熱区画されていれば床下や小屋裏も室内空間とし、気積を2.6で割った数値を床面積として認める方向に固まったようだ。
  高杉氏は「実質床面積で計算すると、床下空間の気積が大きくなった住宅ではQ値1.3Wをクリアするため必要以上に断熱性能を高める必要があったが、今回の措置によってこの問題も解消される。
 例えば基礎断熱・屋根断熱で吹き上げ部分もある住宅で、総熱損失係数171.0W/Kの場合、実質床面積116.48m2でQ値を算出すると1.47Wになるが、床下空間や吹き上げ部分も含めた気積388.61m3を2.6で割った相当床面積149.47m2で算出すると1.14Wになり、北方型住宅 ECOの基準をクリアできる」と講演の中で話している。

編集長の目
もう一歩踏み込んで
わかりやすい基準を

20081125_3.jpg  この問題は当初から矛盾していた。端的に言うと、一般的に使われているQ値計算ソフトやふだんの計算方法なら、Q値が1.0Wレベルに達する超高断熱仕様なのに、北方型住宅ECOでは基準の1.3Wをオーバーして基準値以下と評価された例が数件現れる事態が発生している。
  その理由は床面積の計算方法の違い。総熱損失係数は同じでも、床面積が違えばQ値が変わってくる。
  断熱仕様も実際の暖房エネルギー消費も同じなのに、Q値は大きく違ってくる。つじつまが合わない話だ。
  それを是正しようというのが今回の措置。
  それにしても、である。計算に使われる「相当床面積」とか「実質床面積」というのはいったい何を指すのだろう。建築基準法上の床面積以外に、いろいろな床面積があっていいのだろうか。
  基礎断熱・屋根断熱であろうが吹き抜けがあろうが、床面積は基準法上の床面積で計算する。そう統一したほうがわかりやすいと思うが、いかがだろうか 。


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